352日 炎の学食合宿
「今日から私たちの指導をしてくださいます、神崎飛翔さんです。」
「どうも、結花の夫の飛翔です。この自己紹介でいいんだよね?」
「問題ないですわ!わたくしにお任せください!」
僕は今、亀川大学の学食部の指導を行う。今日から一週間ほどやるみたい。その間に結花さんは旅館の改装を行うらしい。
「それじゃあ、自己紹介をしようか。」
「学食部部長の犬山綾です。」
「副部長の朝霧京弥です。」
「雑務係の北橋秀太です。」
「そして会員の皆さん、自己紹介をお願いします。」
「愛子さやかです。」
「作並裕香です!」
「国見麗子です。」
「この6人でいつも学食を作っております。本日から一週間、お願いします。」
「はい。それじゃあいったん作ってみて。」
飛翔の目に炎が映る。それほど燃えていた。一方亀大の学食部はというと…
「京弥、それはまだひっくり返さないでください。」
「は~い。」
「綾、それはまだ煮えてません。」
「すみません…」
「どうして皿が用意できてないの!」
「それは…」
グダグダである。これでいいのか…そう考えていると、料理ができており目の前に配られていた。
「こちら肉じゃが定食です。」
「…いちおう今回はこれでコンテストに出るつもり?」
「…正直まだ決めてないです。」
「そうか。ではいただきます。」
食べ進めていったが…途中で箸が止まった。
「もういいや。ごちそうさま。」
「どうして箸を止めるのでしょうか?」
「えぇ…」
「私たちも気になります!…もしかして…女性じゃなかったから?」
「作り手の性別はどうでもいいんだよ。問題は味ね。」
「食べてみましょうか…」
実際の料理を食べた部員の顔は…少しだけ曇った。
「美味しいです。飛翔さんは何を言ってるのですか?」
「…そうだよな。」
作った本人だから、美味しくないと認めたくないのだろう。しかし…飛翔が言いたいのは違う。
「そうだね、わからないよね。」
「わからないってなんでですか!」
「…あのさぁ…味付けに込める気持ちは何だろう。」
「…え。」
「味付けもそうだけど…料理をするときにさ、どのような想いで作ったのかな?」
「それは…それはわかりません!」
「レシピ通りに作ればそれは美味しいだろう。だってそういうものなんだもの。でも、料理への想いは料理に伝わるんだよ。美味しくできればいいだろうという味は…いやでも見えちゃうよ。」
「じゃあどうすればいいんですか!」
「それを教えるために来たんじゃないのか!」
「そうだね、教えたい。でも…その前にそういう気持ちは捨てようか。」
「どういうこと…」
「だから、教えろよって気持ちは捨てなさい。君たちは教えてもらう立場なんだから。」
「…わかりました。」
「大丈夫、君たちならできるよ。さぁ、明日から頑張ろうか。」
「はい。」




