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339日 アイドル


「塩崎さんって結構優しいんですね。」


ラーメン屋を出ると、すでに七夕は終わっていた。気が付かない間に家について、布団の中にいた。寄っていたときのことは覚えていない。だが、この言葉だけは覚えていた。


「7月11日土曜日、最初は神楽阪46の初ドームツアーから…」

「そうか。そういえば昨日始まってたな…僕はチケット抽選に落ちちゃったけど。」

「それでは聞いてください、梅雨明けのキャラメル!」


テレビからは新曲が流れる。アイドルというのは偶像で…でもそれが面白い。最も、僕が好きなのは…楽曲の中身だけど。


「そうか…でも、彼女はもういないんだよね…」


彼女の夢…そう、昔の話だ。あれは中学校の最後の日だ。大好きだったあの子に告白したんだ。


「あなたのことが好きでした!付き合ってください!」

「はい!」


卒業式の日、あの日以来恋人同士になった。しかし…


「ごめんなさい、他に好きな人ができたんだ。」


面と向かって言われたとき、それが初めての失恋だった。楽しかったショッピングセンターの思い出も水族館も…悲しみと共に消えてしまった。


「うふふ、大好きだよ。」


次に彼女を見た時は、夜の街で知らない誰かと一緒にいた時だ。そして、彼女はホテルに消えた。数日後に友達が送ってきた動画には彼女だった何かが知らない男たちと寝ていた。


「彼女はアイドルが好きだったんだ。夢だったんだ。でも…その夢は叶ったんだろうね。」


こうして、悲しい恋物語は幕を閉じた。


「ずっと夢を見て…それで安心してたんだな。そして、今も彼女はどこにもいないんだな。」

「…あ、わたくしは試験なので行ってきます!」

「いってらっしゃい。」


家には静寂が広がる。孤独からの寂しさとさっきまで悲しいことを思い出したせいで一人ではどうにかなりそうだった。


「洗濯業者は明後日、メンテナンスは来週…何も来客は来ないんだな。」

「来ないときはどうしましょうね。」

「私たちを呼ぶんだよ。ひーくん。」

「ね、寂しいじゃない。」

「みんな…ありがとう!」

「いちおう言っておくけど、飛翔はみんなのものなんだから…悲しいこと考えないの!」

「真音さんはひよりちゃんから、雪さんは塩崎さんから聞きましたよ。」

「うんうん。まさか宗司が転生してるとは思わなかったけどさ…七夕の日、ラーメン屋に行ってたでしょ?」

「あぁ…まぁ…」

「そこで悲しいことを聞いたからその場ではどうにかしたらしいけどさ…」

「まったく、この世界に重婚制度あるの忘れてたでしょ?」

「七夕の日に婚約届けだしたんですよ。それで、昨日郵便で許可されたからお祝いしようとしたのに…悲しいですよ!」

「なんか…ごめん…実はさっき悲しいことを思い出してて…」


そのことを言うと、少しだけ同情された。

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