337日 メロンパン
「…歩くのは初めてなんだ。手をつないで歩くのはもっと初めて。」
「結花さんとはいつもつないでないのですか!?」
「手をつなぐというより、腕を組んでいることが多くて…」
「そうだったんですね!あ、このパン屋さんに寄りましょう!」
このパン屋さんはこの世界で一番有名なパン屋さんらしい。たまたま空いていたとはいえ、まさか一番有名なメロンパンが買えるとは思わなかった。
「美味しいですよね。メロンパン。」
「確かに。そうだ、名前を聞いてなかったね。」
「水無瀬つむぎと申します。私のことはお好きなようにお呼びください。」
「そうか…つむぎちゃん。このあとはどこに行くの?」
「はい、このあとは駅まで向かいましょう!」
結局駅までいろいろ立ち寄った。かわいい洋服屋さんに綺麗なお花屋さん、美味しい焼き鳥屋さんにおしゃれなカフェ。キラキラな毎日がそこには見えた。
「駅に到着しましたよ。でも、もう夕方ですね。」
「まぁ、いいじゃない。七夕だもの。」
「飛翔さん!お待たせしました!」
「結花さん!お疲れ様!」
「はい…それで隣の方は…」
「水無瀬つむぎです。飛翔さんの嫁候補です!」
「あぁ…彼女が…」
「結花さん、飛翔さんと重婚してもよろしいでしょうか!」
「それは構いませんわ。ですが…わたくしも言えたことじゃないですが卒業しましょうね。」
「はい!」
「…ところで飛翔さん、向こうで呼ばれてますよ。」
「飛翔!私たちとドライブしようよ!」
「…結花さんとつむぎちゃんはいいの?」
「わたくしは会合の打ち上げで遅れますし…」
「私も葉子さんと梨穂さんのお見舞いに行きますので。」
「…じゃあ、3人で楽しもうか!」
「はい!」
みなみのの駅の広場では七夕祭りが開催されていた。町の人々は出店やパフォーマンスを楽しんでいた。それらを横目に駐車場に向かっていた。
「さすがに今日はリムジンじゃないんだ。」
「そうだね。でも、楽しいことしようよ。」
「…ところで、どこが一番綺麗に星が見えるのでしょうか?」
「ひなたちゃん、これから行くよ。」
車を走らせると、街の明かりが少なくなっていく。気が付けば街は眼下に眺める程度になっていた。そして、見晴らしのいい駐車場に車を止めた。
「ねぇ、飛翔さん。たまたま駅にいたから呼び出しちゃった。」
「そうなんだ。」
「それでね…私とひよりちゃんでよければ…その…」
「結婚したいと思っているの。だ、大丈夫。飛翔が嫌ならいいんだけど…」
「…願いがかなったんだ。こんな僕でよければ喜んで!」
「…重婚したかったの?」
「そうなんだよ。だって…僕以外の男性陣はみんなしているからさ…」
「本当は真音ちゃんもしたかったらしいんだけど…少し遅かったんだよね。」
「悲しいけど。」
「…さて、帰るか。」




