335日 現実的炒飯
「というわけで連れてきました。」
「こんにちは。学食部部長の一ノ瀬由香です。」
「副部長の二ツ木啓介です。」
「三日市双葉です。」
「…こんにちは。南川望愛と申します。今日の学食のフィードバック…というより、少し質問がしたくてね。」
「…どうしてでしょうか。」
「このトマト煮ってさ、何を目的にしたのかな?」
「…美味しい物を作るだけで…」
「そう。飛翔くん、どう思った?」
「はい…海美さんはこれを食育の場として設けているわけで、食育って食を通じて教育するわけなんだよ。」
「そうですね。」
「…食ってさ、ほら好き嫌いがあると思うんだ。でもね、その嫌いなものの中にも栄養があるんだよね…」
「…すみません、言いたいことがあるならはっきり言ってください。」
「部長!…どうぞ続けてください。」
「…そうね。料理に文句を言いたいわけじゃないんだけどさ、栄養は考えて作りなさい。この料理、美味しかったのに香りがなくて寂しかったよ。」
「なるほど…」
「…私、玉ねぎを切ると涙が出ちゃうの。だから嫌なの。」
「…部長!さっきからわがままばっかりで…」
「啓介にはわからないよ!」
「…由香ちゃん、せっかく色々言って下さってるんだから…」
「双葉もうるさいわ…」
「…じゃあさ、料理対決をしようよ。飛翔、チャーハンを。」
「あ、はい。」
「ふん、私の方がいい物を作れるから。見てなさい。」
こうして料理対決が始まる。鍋の音、燃える炎、そして香る食材たちの声。響く中で、両者ともに料理が出される。
「僕の軽い気持ちで作ったチャーハン。お願いします。」
「…そうだね。飛翔らしい味。店というより家庭に近い…だけど暖かい味なの。」
「私のチャーハンはどう!」
「チャーハン対決か。」
「勝ちたいんだな。」
「うん。美味しい。それだけ。」
「それでいいんじゃないの?私の勝ちよ。」
「確かに勝ちだね。でもその勝ちは無価値だね。」
「何が言いたいの!?」
「だから、そういう意識でやると料理も悲しむんだよ。」
「…そういうことか。」
「啓介わかったの?」
「飛翔さんのチャーハンを食べればわかる!二人とも食べてみて!」
「…なるほど。美味しい。」
「美味しいだけでしょ…ったく。」
「では、そちらの部長のチャーハンも…うん。美味しい。美味しいけど、そうじゃない。」
「どうして!」
「…味は美味しいんだ。でも、それ以上に大切な気持ちが入ってないんだ。」
「気持ちは入ってます!負けたくない!絶対勝つって気持ちが…」
「本気でそれを言っているならそれはまずいね。」
「わからないです…なぜ気持ちを込めないといけないのか!レシピ通りにやれば美味しいはずなんです!…認められません…」
「じゃあ、教えてあげる。火の通り方と味の均等さがよくないわ。飛翔はただ普通に作っただけでできてるからね。」
「なるほど…勉強になります…」




