334日 七夕のトマト煮
「7月7日、世間は七夕というけど…」
「七夕だというのにわたくしたちはみなみので用事ですわ…」
そう、今日は七夕。なのに朝からみなみので二人はうなだれていた。結花さんはとあるビルの一室での講演を聞きに、飛翔はバスを待つことにした。
「みなみのからのバスって久々だな。一人で乗るのは初めてだけど。」
「調子はどう?飛翔くん。」
「師匠!?どうしてこちらに…」
「驚くことかな?今日は私講義があって…」
「そうだったんですね…」
「それと…望愛でいいわよ。師匠って堅い感じがするし。」
こうして南川教授と飛翔はきらら大学へ向かった。
「今日は学食の人にインタビューもあるの。一緒に行かない?」
「行きます!望愛さん!」
「えぇ、これがいわゆるフィールドワークよ。」
「そうだったのか…」
「お待ちしておりました。南川さんと神崎さん。蟹江海美と申します。」
「あら、本日はよろしくお願いしますわ。」
「さぁ、まず今日の学食をお召し上がりください。」
「ありがとうございます。今日は…なるほど、学食部考案のメニューと。」
「はい、本日は学食部が考えた学生メニューの日なんです。やはり食育というのは必要だと感じましたので…」
「そうだったんですね…」
「…この味付け。ちょっと足りないな。」
「え…そうでしょうか…塩分が足りないのなら塩はありますけど…」
「…確かにそうですね。飛翔さんもそうですけど…塩分じゃないと思います。」
「…では辛みですか?それともうま味?苦味…さすがに苦い料理じゃないと思いますが…」
「そうですね。この料理は鶏肉のトマト煮定食。そう、トマト煮なんです。はっきり言って香りが足りない。」
「飛翔さん…」
「…なるほど。飛翔さんはそう来ましたか。私は香りが少し足りないと思っただけですが。」
「ハーブ類は何を使ってるの?まさか乾燥したバジルだけじゃないよね?」
「よくわかりますね!?」
「ここはローズマリーやオレガノも少し合わせないとより良い物にはならないと思う。」
「それは高いのではないでしょうか…金銭的に。」
「そう、そこなんです。ハーブ類を使わなくとも美味しくする方法…それはピーマンや玉ねぎなど他の野菜も入れないといけないでしょ。」
「そこは…失念しておりました…」
「食育というなら野菜の確保は課題です。煮込めば野菜のかさが減って食べやすくなるんですよ。」
「はい。」
「…飛翔さん。そこまで考えていなかったです。しかし、副菜もサラダもあるし問題ないかと思いました。それに、和風のトマト煮ですよね?それなら仕方ないのでは…」
「いいえ、和風ではないです。これは普通のトマト煮です。」
「…そうですか。それでしたら飛翔さんの言うことは正しいと思います。」
「そうだ、そちらの学食部を呼んでください。」
「そうね。お願いできますか?」




