297日 うなたま
前書きも後書きも書くのを諦めた
波乱の日を超えて、ただそこにあったのは新しい日々…のようなそうでないようなわからない感触だった。例えるなら…ここに来た時のようだ。
「久々だな。1人で目覚めるの。」
「何言ってるのですか!ここにもう1人いますわ!むしろ今日は休みでしょ!何寝ぼけているのですか!」
「…ならなんで昨日は…」
「…昨日でしたら…実は朝から市場に買い出し行ってまして…」
「だから一人で起きていたのか…」
「まさか新年度始まって最初からいないだなんて…ひととせ…恐ろしや!ですわ!」
「恐ろしくはないよ…さて、今日はどうする?」
「飛翔さんは研修とかないんですか!?」
「…学生時代と変わらないからね。ずっと厨房で調理しているよ。」
「そうなんですね…そういえば天使会は今日でしたわね。場所はここですけど。」
「そうだよね、料理手伝うよ。」
「ありがとうございますわ。」
こうして調理をしていると、ドアのチャイムが鳴った。
「飛翔!結花!来たぞ~」
「その声は我が愛しの天使長ですわ!」
「初音でいいって言っただろ…さぁ、今日は定例会議だが…まだみんな来て無さそうだな。」
「そうなんですよ…まぁ、今日はみんな来てくれると思うのですが…」
「そうと言われたので連れてきました!」
「魅華子さん!」
「さぁ、今日の議題は…と、真面目にはやらずに、ただのお茶会と近況報告を行う。最近どうだ。日吉台のカフェは。」
「順調です!そうだ、理世ちゃんと千成ちゃんも学校が決まったそうです!」
「それはよかった。どこの学校だ?」
「私たちは結花さんと同じ亀川大学です!」
「亀浦かぁ…佳奈もそこだよね?」
「なんなら遥希や美白もそこだよ。というか…亀川って卒業難易度高いんだよな…」
「そうなんですか!?」
「というか…天使は伝統的に亀大なのですか?」
「そんなわけない。魅華子も飛翔も…私も浜大だもの…」
「当時は国立でね…今じゃ授業料も入学金も統一されましたが。」
「ところで…卒業した時の同期と同窓会は…」
「私の代はしてないな。由依とか浩介あたりが開くかと思ってたけどな…」
「私の代は結構亡くなっちゃったからな…男性が多い代だったんだけど…浩義さんって慎一郎の組にいたんだけど…あの人の親友が亡くなってからは全くな…」
「そういえば魅華子さんの同僚の大学教授って?」
「あぁ!望愛のこと?望愛ちゃんはすごいよ。あの人の弟子は一流の料理人だからなぁ~」
「え!?」
「千織さんとか…最近だと幸崎壮もだよね。」
「…飛翔もだぞ。」
「望愛ちゃんの弟子なの!?」
「そうだ、今日は玉子焼きとウナギです!」
「…うな玉!待って…たれとウナギの焼き加減…それと玉子焼きのだし加減が…」
「…なるほど。玉子焼きは飛翔だな?おいしいぞ。」
「さぁ、今日の会議はどうしますか?」
「もうお開きにしよう!次回は来週にでも…」