332日 魔王と7人の嫁
「落ち着いたついでに少しだけ物を足したということで…」
「…あら。早苗さんと京子さんは寝てますね。」
「どうしますか?今から呼べますよ?」
「そうですわね。呼んでほしいです。」
そう言うと、寝ていた二人を起こして神楽阪駅に止めた。僕だけ車に残り、3人は家に帰ったという。深夜1時の出来事だ。
「リムジンの助手席って面白いですよね。」
「意外と嫌いじゃない…」
「本当は七夕の日にお会いさせたかったんです。彼女も学生なので…」
「へぇ、きらら大学なんだ。その子。」
「そうなんですよ。しかも、飛翔さんの学食のファンで、いつも食べられないのが悲しいぐらいに好きなんですって。」
「そうなんだ。じゃあ、あの日のコンテストの時も食べてくれたかな?」
「食べてましたよ。目から涙を流しながら…今まで食べた料理の中で一番ですって。」
「…そこまで行くとただの憧れだね。」
「それほど憧れているんです。さらに、飛翔さんって優しくて…なんだか惚れそうですよね。」
「最も、そうでもないけどな。」
「どうして…?」
「僕の同級生ってさ…結婚してるよね。」
「確かに。真音さんは恵斗くんと、雪さんは壮くんと、さくらさんも駿平さんかな…結婚したと聞きました。」
「そう。それに、他の人も結婚したと聞いた。一夫多妻制で順婚もあり…なのに、僕にはその告白という文字がないんだ。」
「…言われてみれば。結花さん以外妻がいないですよね。」
「そりゃあ素晴らしい嫁を貰って嬉しいよ。一生大事にするよ。それは当たり前なんだよ…でも、他の人って3人は妻を抱えるのが普通だって雑誌に書いてて…」
「飛翔さん、3人じゃないです。現代では10人は必要らしいですって。」
「嘘だろおい。でも魔王様の嫁は…」
「えぇ、でも彼には昔7人の嫁さんが…先代の話かもです。」
「そうだったのか…ところで、その子は結局来るの?」
「来ないらしいです。やっぱり無理だったようです。」
「…じゃあさ、七夕の日にきら大行こうかな。」
「え!?」
「でも…その子に迷惑かな…」
「…ちょっと待ってください…学長に連絡しないと…」
「学長か?おい、まさかひよりちゃんじゃないだろうね。」
「え、宏さん!?」
「たまたま電車が動き出したと思ったら、君の車見つけてさ。それと、飛翔もいるのか…」
「もしかして学長に…」
「てか、俺が学長。それで、案内役だろ?飛翔は学食だけなのだから別にいつだって来てくれてもかまわない。」
「ありがとうございます!」
「ところで…二人はこれからどうするんだ?」
「これから寝ようかと思います。」
「そうか、風邪ひくなよ。」
「はい。」
こうして、朝日を眺める前に眠りに落ちた。意外と寝つきはよく、起きた時には正午を指していた。




