326日 エビマヨ
「7月に入って編入試験や就職活動も盛んになりました。」
「そこで、私たちは卒業試験作りに取り組まないといけません。」
「…というわけで呼ばれたってことね。」
「しかも…ここ旅館だよね?」
「えぇ、そうですわね。予約ありがとうございます。」
「私がたまたま見つけたんだ。ところで部屋はどうでしたっけ。」
「葉子さんと梨穂さんが101、吉乃さんと沙恵さんが103号室です。」
「ありがとうございます。」
旅館には4人の宿泊客がいる。結花さんは久しぶりの営業で、少し緊張しているように見える。しかし、僕は僕で緊張している。
「しかしみんなの広場ね。もともとシェアハウスだったよね。いつの間にか変わってたんだ。」
「そうだね。しかも…あれ?」
「すみません、ここってランチ営業やってましたっけ?」
「あぁ…構いませんよ。」
「それじゃあ二人大丈夫でしょうか?」
「あ、はい。」
「…あ、そこも客室なんだ。」
「いや、待合室に見えますね。」
「ところで問題作りはどう?」
「あ、順調です…って明日海さんとさくらさん!?」
「たまたま上天行ったら会っちゃってね。ついでにここに来たら定食屋が無いから聞いただけだよ。」
「私の家は隣のアパートですけどね。」
「そうだったんですね…」
「お待たせしました。今日はエビマヨ定食です~」
「飛翔さん!?」
「なんで君たちがいるんだよ!?」
「私たちは予約、この二人はランチだけで…」
「飛翔さんの友達でしたか!じゃあわたくしは仕込みついでに業者に発注しないと!」
こうして結花さんは外に出ていった。取り残された僕はみんなの広場の名に恥じないようにふるまった。
「ここの料理ってどうなってるの?」
「料理とかは自作だよ。でも、皿洗いとかは機械なんだ。」
「確かに掃除も機械ですし、洗濯も…」
「すごいね。ここっていい旅館じゃないかな…失敗談とかあるの?」
「…一番最初に泊まった人がね…」
飛翔は昔の話をしている。過去の宿泊客の話だ。
「…なんか。ごめん。」
「まぁいいんだけど…それにしても…今度の卒業試験の問題か。」
「そう。それとどんな感じにするか決めようかなって。」
「ゆっくり決めようか。でも、8月までにね。」
「それはそう」
「…ただ、私たちが作っていいのかな…」
「いいんですよ。何も文句は言わせません。」
「確かに。」
「しかも今回は試験資格のある人が多いんですよ。」
「そうだ、それで思い出したわ。資格を奪われている人っていたじゃない。」
「いるいる。その人たちの資格をどうするかでしょ?」
「…これ、私と壮がやってもいい?」
「…あれ?沙代里ちゃん?」
「まさかここにいるとはね。真音の所に二人で来ててな。」
「それでやりたくなった。それで、恵斗は問題選定を手伝うって言ってた。」
「そうっす。というか、飛翔の嫁さんの旅館かぁ…今度泊まろうかな。」
「みんなウェルカムだよ!」




