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323日 第三の女


不安に駆られながら待っていると、扉が開いた。カウンターの鐘を鳴らして僕たちを呼びだした。


「そんなに気を張らないでください。肩の力を抜いてリラックスしましょう。」

「は、はい。」


こうして大広間でゆっくりしながら話を始める。


「急にごめんね。連日のようにいろいろな人と話して疲れたよね。」

「いえ、まったく。」

「わたくしたちは君のことが知りたくて喋るのですけど…大丈夫ですか?」

「は、はい。」

「まず、僕は天使陣営の神崎飛翔と言います。」

「そしてわたくしが天使陣営の楠結花と申します。」

「…私は鶉橋知花といいます。今年から浜大でお世話になります。」

「うん、佐原ゼミだよね。だいたいの事情は分かるよ。」

「そうでしたか。」

「それでね、今あなたには天使と悪魔のどっちかになれるという選択があります。どっちがいいですか?」

「…私はどっちも嫌です。そもそも私はどっちにもなれないと思います。」

「そうだよね。それはどうしてだと思う?」

「…私、転生前に殺したんですよ。何人も何人も。」

「そうだね。」

「わたくしたち、だいたいの事情は聞いてるので大丈夫ですよ。」

「そうですか。」

「でね、どうして殺しちゃったのかなって。」

「…嫌だったんですよ。」

「何が嫌なんでしょうか?」

「…学校。学校が嫌だったんですよ。」

「もしかして…いじめとか?」

「体罰とか虐待でしょうか?」

「…もう全てですね。」

「…相当頑張ったんですね。」

「そもそも行きたくなかった高校に行かされて、やりたくもなかった部活をやらされて…本当は友達と仲良くやりたかった!」

「…どうして?」

「私の親のせい。親が地元の高校を反対して…推薦ももらってたのにその試験を妨害された。」

「結局どうしたの?」

「親が勝手に出した私立の進学校で受験して、受かっちゃったからそこに行った。」

「それならついていけなくなるのも納得ですね。」

「予想通りクラスも陰鬱で…すぐ人を蹴落として人を嗤って…それに耐えられなくて殺しちゃった。」

「…先生にも相談できずに…かわいそうですわ…」

「相談ですか?担任にも部活の顧問にもしましたよ…そしたら自分で何とかしろと。突き飛ばされたうえでね。」

「…それ…学校としてどうなのでしょうか。あまりにも冷たすぎませんか?」

「逆に中学校や小学校の時ってどうだったのかな?」

「楽しかったですよ。優しくて暖かくて…少なくとも生徒を突き飛ばして嘲笑うような先生も人を集中的にいじめて学校に来させないような子もいませんでした。」

「ねぇ…僕はこの子が天使になれると思わないんだよね。」

「なぜでしょうか?」

「この子の瞳が…天使じゃない。」

「あぁ、確かに…でも、決めつけるのはよくないです。」

「もう少しだけ聞いてみようか。」

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