316日 護るべきもの
「5月17日。会議の翌日だからって立てこもりは解消されずか…」
「特に浜大がすごいらしいですわ…ねぇ、本当に行くのですか?」
「行かなくては…行かなくてはと思いつつ…やっぱり怖い…」
「無理してはいけません。さぁ、今日はゆっくりしましょう。」
こうして何もない一日を過ごすことになった。
「そういえば、いつも思っていたのですが…飛翔さんはどうして天使になったのでしょうか。」
「そりゃ初音さんからの指名で…」
「そうですわね…いえ、そうではなくてですね…どうして天使として選ばれたのかと思いまして。」
「あぁ…聞いたことないわ。結花さんはどうして自分が天使になったと思うの?」
「…実はわたくしは知っているのです。なぜわたくしが天使であるかを。」
「そうなの?」
「わたくしが天使になった理由は…誰かを守るためなんです。その誰かを守るために転生してきたのかもしれません。」
「その守るべき誰かって…?」
「…もういません。これは飛翔さんと出会う少し前までさかのぼります。」
飛翔さんが転生した年の冬…この世界のとある場所で戦争が起きました。守るべきだったその人は、わたくし楠結花をかばって亡くなりました。その方は飛翔さんのような優しさも儚さもありませんでしたが、勇敢さと漢気はありました。わたくしはその方を守ろうと戦場の前線に立ってました。しかし…
「君だけでも先に逃げろ!」
「いけませんわ…そ…そんな!」
「ごめん、守れなかったな。」
こう言い残して彼は亡くなりました。その後彼は英雄となり、彼の教えを学ぶための学校…亀川大学が設立されたとか…
「こんな感じですわね。」
「彼を蘇生することはできなかったのか?」
「できませんでした…当時の霊媒師やネクロマンサーに頼んでも…もう彼は…」
「そうか…その人は勇者みたいだったんだね…」
「さぁ、こんな暗い話もあれですし、買い出しにでも行きましょうか!」
「いつも思ってたけど…掃除や洗濯はしないの?」
「実は学校に行ってる間に毎日やってました。次は明日やりますよ。というわけで!一緒に行きましょう!」
こうして西町まで買い出しに行ったわけだが、たまたま顔なじみと会った。
「あれ?もしかして?」
「誰かと思えば飛翔くんと結花さんじゃないか!」
「元気してましたかね?」
「あ、朱雀さんと強介さん!雅さんはどちらに?」
「おぉ、君たちかぁ!元気してたよな?」
「おかげさまで。ところでどうして西町マルイに来てるんだ?」
「あ、マルイだったんだ!」
「知らなかったのですか?そごうはもっと向こうですわよ?」
「…そうだったのか…」
「まぁまぁ、美味しいもの買えたからいいじゃないか!じゃ、帰ろうかな…そうだ、あの立てこもり犯と一回あってみようぜ。」
「雅やん…いいじゃん、行こうぜ!」




