商店街との出会い②
正貴が校門に到着すると、そこには昨日と同じ少女が立っていた。彼女は少し落ち着いた表情をしているが、どうやって俺の学校がわかったんだ、、、
「こんにちは、成瀬くん。」
彼女は微笑みながら声をかける。
「お、おう。その…昨日のこと、正直まだよくわかってないんだけど。」
正貴は戸惑いを隠しきれずに言う。
「それはそうよね。急な話だったし、無理もないわ。」
彼女は軽く肩をすくめる。
「それにしても、君…名前を聞いてなかった。」
正貴はふと気づいたように尋ねる。
「名前?そういえば、まだ名乗ってなかったわね。私、和布皐月。よろしくね。」
皐月はにっこりと微笑む。
「和布皐月か…。なんだか不思議な名前だな。」
正貴はその名前を口に出しながら、どこか神秘的な雰囲気を感じた。
「よく言われるわ。でも、名前なんてただの記号よ。本当に大事なのは、これからどうするかでしょ?」
皐月は真剣な眼差しで正貴を見つめる。
「それはそうかもしれないけど…でも、どうして俺なんだ?まだ信じられないんだ、俺が商店街を復興させるなんて。」
正貴は正直な気持ちを吐露する。
「昨日も言ったけど、私はあなたならできると思ったの。あなたには、その力がある。」
皐月は真っ直ぐにそう言い切った。その瞳には、揺るぎない確信が感じられる。
「俺に力がある…?」
正貴は半信半疑だったが、皐月の言葉に心が揺れた。彼女の自信に満ちた態度に、何かを感じずにはいられなかった。
「そう。そして、あの商店街は放っておけない場所なの。かつては多くの人々が集まり、活気に満ちていた。今は静かになってしまったけれど、まだ息づいているものがあるのよ。」
皐月は懐かしそうに語る。
「わかった…。もう少し話を聞かせてくれ。商店街に行く前に、少しでも理解したい。」
正貴は決意を固め、皐月に向き直る。
「ええ、もちろんよ。」
皐月は優しく頷き、二人はゆっくりと商店街に向かって歩き出した。