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41/57

41.相手に言えない本音は、別の人に話す。別の人も同じコミュニティなんだけどね。仲良しの繋がりってそういうものだよね、お母さん。

お母さんが電話している場所は、外。


お母さんは、不倫相手の家で、お父さんの話題を出したくない。


お母さんは、私と電話しているだけだから、周囲を警戒していない。


お母さんにとっては、警戒するような内容じゃないから。


不倫相手の話をしているわけじゃないもんね。


家族との電話越しに、家族の、妹娘の愚痴を姉娘にこぼしているだけ。


お母さんが油断していることは、お母さんのせいじゃない。


お母さんが失態を重ねるのは仕方ないの。


お母さんは、大きな口の存在を知らないんだもん。


大きな口は、凄いんだよ、お母さん。


大きな口といるときに気づいて、お父さんと私で検証したの。


大きな口はね、私と一緒にいると、姿を隠せて、声も聞こえなくすることができるの。


隠密行動にぴったり。


頭を握り潰したがる医者の家族の件も。

お母さんと不倫相手の外食の件も。

お母さんが、妹と不倫相手の三人で食事会を計画したときも。


大きな口には、よく助けられた。


私、大きな口に出会えて良かった。


どんなときも、絶対味方になってくれるお父さん。

私のしたいことのために、喜んで力を貸してくれる大きな口。


今、大きな口は、妹にくっついている。


私が、大きな口に、頼んだの。


私の計画のために。


妹は、大きな口を認識していなくて、大きな口も妹に姿を見せようとしていないから、妹は、大きな口がくっついていることを知らない。


お母さんに会いに行った妹が、お母さんに呼びかけたり、話しかけたりしても、大きな口が妹と一緒にいる限り、妹の声がお母さんに届くことはなく、妹の姿はお母さんの視界に入らないの。


お母さんは、知る由もない。


大きな口が一緒にいると知らない妹がずっと、お母さんについて回っているなんてことは。


三十分の待機時間の表向きの理由は、私の移動時間。


でもね、お母さん。


本当は違うの。


妹がお母さんを見つけて、お母さんに近づくための時間なんだよ。


お母さんの電話から、三十分後にはね、お母さん。


妹は、お母さんのすぐ側にいたよ。


今もいるよ、お母さんの側に。


お母さんに呼びかけても、お母さんには存在が目に入らないかのように無視され続けていると感じている妹は、お母さんの本音を浴びるように聞いている。


妹の声も感情も、お母さんには見えない、聞こえない、伝わらない。


妹は、家族の中で、一番お母さんの近くにいるのに。


お母さんは、遠くにいるはずのお姉ちゃんとの電話に夢中で、妹に見向きもしない。


家族の中で一番の仲良しだと思っていたお母さんは、妹の愚痴をお姉ちゃんに話している。


お母さんにがっかりされていたなんて、妹は初めて知ったはず。


お母さんから無条件に可愛がられていた時代は、とうの昔に終わっていたなんてこと。


妹は、想像したこともなかったと思う。


お母さんが、習い事を辞めた後の妹をどんな風にとらえていたか、とかね。


妹は、初耳の嵐だよ。


妹の胸中も、嵐だね、今頃。


妹の信じていた世界は、現在進行形で、ひっくり返っている。


『あははは。

黒さが潔い。』

と大きな口の歓喜が、離れた場所から伝わってくる。


大きな口は、私の心の黒さが大好物。


安心して、お母さん。


私の妹だからね。


私は、妹を傷つけたりしないよ。


妹は、私の家族だもん。


あとね、お母さん。


お母さんも、私の家族だから、私は傷つけたりしない。


大事にするからね、お母さん。


私を置いていったりしないでね。


どんな気持ちになっても、最後まで、私と一緒にいてよ、お母さん。

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