39.私の家族は、四人家族。お父さん、お母さん、私、妹がいればいい。お母さんが新しい家族にしたがった男の人は、引き際を間違えたよね?
お母さんからの電話には、すぐに出ない。
お母さんは、一回かけてきて、私が電話に出ないと電話を切った。
五分後、もう一度、お母さんからの着信を確認。
私は、お母さんの着信が切れるのを待った。
着信の二分後に、折り返して、お母さんが電話を受ける前に、電話を切る。
すぐにお母さんから電話がかかってくる。
「実月。家にお父さんを入れたんじゃないわよね!」
とお母さんの押し殺した声が電話口から聞こえる。
「お母さん、私は今、移動中なの。よく聞こえないから、三十分したらかけ直して。」
さあ、三十分を有意義に使おう。
私とお父さんは、並んで目的地を目指して歩いている。
「お父さんは、今から、主役。頑張ってね。」
私とお父さんは、目的地に着いた。
私とお父さんは、とある建物の受付へ。
私とお父さんは、ある男の人を呼び出してもらうように頼んだ。
「本日は、お約束をしていない、ということです。アポイントをお取りになってください。」
と受付の女性。
「なる、の夫と娘の実月が、なる、の件で、穏便に今すぐ話がしたい、と伝えてください。」
とお父さんは、受付の女性に言った。
「個人的なお話は、受付いたしかねます。」
と受付の女性。
「お母さんが、家に帰って来なくなる前に、一緒にいたのが、今呼び出してもらいたい人なの。
お母さんとの付き合いを続けるなら、お母さんを私に返してからにしてって、私は言ったのに。」
「娘は、直接会って話をしていますが、母親の不倫相手の連絡先は知りません。
なる、の夫の私は、妻の不倫相手との面識はありません。
妻から、紹介されていませんから。
家に帰らない妻を探しているときに、妻と一緒にいた不倫相手を見つけて、こちらにきました。
妻が家に帰らない理由がお相手と過ごしたいからだ、というなら、お相手から、妻をフッてください、と、本日はお願いにあがったしだいです。」
とお父さん。
「個人的なお話は、本人とお願いします。」
と受付の女性。
「私はお顔を知らないので、退社時刻まで、娘が玄関口で待ちます。他の出口はお使いにならないようにお伝えください。」
とお父さん。
私は、建物の外で立って待つことにした。
お父さんは、別行動。
妹も別行動。
大きな口には、妹と一緒に動くように伝えてある。
一人で動く妹には、大きな口のことを伝えていない。
建物の入り口で待っていたら、お母さんから電話がかかってきた。
「実月。お父さんを家に入れたの?」
とお母さん。
「お父さんが家にいない状態がおかしかったんだよ、お母さん。
お父さんは家に帰ってきたの。
今が正常に戻りつつあるんだよ。」
「勝手なことばかり。」
とお母さん。
「ねえ、お母さん。私、お母さんに全然構ってもらえなくて、毎日寂しいの。
今日は、帰ってくるよね?
お父さんも家にいることだし。
今日からはまた、家族四人で仲良く暮らせるよ。」
さあ、お母さん。
私に本音を話してくれるよね?
お膳立ては、上々。
私の計画通り。
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