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30/57

30.お母さんは、誰とどこに行こうとしているの?お母さん、私ね、ずっと待っていたの。私の番をね、ずっと待っていたの。

お母さんと男性は、お洒落なレストランに入っていった。


お母さん、私は、お母さんと一緒にお洒落なレストランに入ったことがないの。


その男の人とお洒落なレストランに行きたいなら、まず私と行ってからにしてほしかった。


妹が小さいとき。

私がお母さんと外食するときは、いつも妹が一緒で、妹の食べられるものがあるお店。


妹が習い事を始めたら、妹の団体と一緒に、追加でついていく私。


妹は、妹の友達と楽しそうにしていて、私は大人しく邪魔にならないようにしていた。


お母さんは、他のお母さんと仲良くしていて、私に見向きもしない。


他のお母さんが、私に声をかけてくれたときだけ、お母さんは、私を見る。


『一人で大丈夫だから。その子は、放っておいても平気だから。ごめんね。気にしないで。』

とお母さんは、私に構ってくれたお母さんを私から引き離す。


『そうお?』

他のお母さんは、お母さんが私に声をかけなくてもいいと言えば、声をかけない。


妹の友達でも、妹より小さい子ども、妹の友達の弟妹の面倒を見てあげて、と言われてきた。


面倒を見てあげてと大人に言われるから、面倒を見ているだけで、私が自分から面倒をみたいと言ったことはない。


だって、私より小さい子どもと遊ぶなら、私が合わせるばかりだもん。


自分より小さい子どもといて、楽しいことなんて、ある?


だいたい、私、自分より小さな子どもとの遊び方なんて知らないもん。


私自身が、自分より大きな子どもに遊んでもらった経験がない。


私のお母さんは、私が勝手に遊んでいて、手がかからないと外で言っていた。


お母さん、私は勝手に遊んでいないよ。


遊んでなんていなかった。


ずっとお母さんを待っていたの。


妹の次は、私の番が来るって。


待っていたんだよ、お母さんが来てくれるのを。



大人は、自分が子どもといても楽しくなくて、楽をしたいから、子ども同士で遊んでほしいんだって、私は知っていた。


大人は、私と遊ぼうとしない。


理由は、私が、子どもで、私と遊んでも楽しくないから。


大人の数が揃っているなら、一人くらい、私を見ていてもいいじゃない。


ねえ、お母さん。


他のお母さんが私を構うんじゃなく、お母さんが私を構って、妹を妹の友達とまとめて、他のお母さんに見ていてもらえないの?


どうせ遊ぶなら、遊ぶ相手は選びたい。


大人も子どもも、考えることは一緒。


私、私を構ってくれる他のお母さんのことが好きだったよ。


私の好きな、他のお母さんは、人気者だった。


お母さんも、そのお母さんのことが好きだったよね?


そのお母さんを嫌いなお母さんも、嫌いな子どもも、見たことがなかった。


そのお母さんは、誰からも好かれるお母さんだったね。


私を構ってくれている人を私から引き離すとき、お母さんは自分が話したい人とか、他のお母さんが話をしたい人のときは、早かったよね?


私を構ってくれている人が、お母さんの話したい人じゃないときは、他のお母さんに指摘されてからじゃなきゃ、来なかった。


お母さん。


私、生まれてから、今まで、我慢してきたの。


私と妹とは二歳差。


私が、二歳になる前まで。

お母さんは、お腹に赤ちゃんがいるから、と言っていなかった?


私、覚えているの。

私がお母さんと一緒にいるために、どうしたらいいか、一生懸命考えたこと。


お母さんは、進んで私といようとはしない。


私がお母さんに合わせたら、私は、お母さんと一緒にいられる。


お母さんの邪魔をしなかったら、私はお母さんと一緒にいられる。


妹が生まれてからは、妹がいるからと、お母さんは言うようになったの。


ねえ、お母さん。

私は、お母さんに構ってもらえるのを待っていたの。


待っていたの、ずっと。


お母さんは、私を構わないで済まそうとしていない?


お母さん、私、決めたの。


私、お母さんを待っていた分を、全力で構ってもらう。


私は高二だけど、私は子どもだから、私におまけして、今から十八年。


お母さんは、私を構って、甘やかすの。


私は、お母さんと男の人がお店の中に入っていったので、家に帰ることにした。


小さいときに我慢していた出来事って、ある日、ふと思い出したら、そのことばかりを思い返してしまうね、お母さん。


覚悟していてね。

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