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26.頭を握り潰したがる医者に守られながら、その背を切りつけた医者の家族に、医者を忘れることができない楔を打ち込もう。

医者を心に住まわせたままで、いなくなれ。


医者は、家族への思いを持ちながら、家族の元を去った。


大きな口は、喰った人の貫き通す思いに関わる人生を覚えている。


私は、大きな口の中にある医者の諦めない気持ちを見た。


医者の諦めない気持ちは、自身が誹謗中傷を浴びている中で強まった。


医者がしたことは、誹謗中傷やめさせるために、批判されている全てから手を引くのではなかった。


『誹謗中傷は的外れな攻撃であり、誹謗中傷を恐れることはない。』


医者は、まず、誹謗中傷に屈しない意思を家族に伝えている。


家族を勇気づけて、家族に気持ちを強く持ってもらい、家族で一丸となって誹謗中傷に抗おうと、医者は考えていた。


家族と共に戦うにはどうすればよいか、と、毎日、試行錯誤を繰り返していた医者。


家族が、医者への誹謗中傷を真に受けて、医者を批判する急先鋒になるとは思わなかった医者。


共にあり、守りたいと願い、誹謗中傷との戦いの原動力だった家族から切り捨てられた医者。


誹謗中傷への闘志を絶望に変えて、医者は今のように変化した。


私は、大きな口に姿を隠してもらいながら、医者の実績を記録した。


大きな口からの情報、ネットのタレコミを元に、お父さんと手分けして、私は、医者の家族を探した。


医者が、今も患者に寄り添っているんだと話をするだけでは、医者の家族への楔にならない。


医者を切り捨てた医者の家族には、一生、ひりついた気持ちでいてほしい。


私は、私の欲望に忠実。


大きな口は、私の自分勝手な欲望と自分勝手な欲望を叶えようとする貪欲さに惹かれている。


だから、私はやれる。


私は医者の家族を探し当てた。


医者と決別して、医者とは別物だ、という顔をして、生きている、医者の家族。


私のお母さんより少し年上の女性、と、私よりも年上の男女一人ずつ。


お母さんと息子と娘の三人暮らし。


三人は、仲良く暮らしている。


仲良し家族の中に、医者だけがいない。


歪だと、私は思う。


医者をいない者として仲良くする三人の歪さが、私は気に入らない。


大きな口は、私の感情を読むのがうまい。


気に入らないと感じたなら、私の気にいる状態へと変えたい。


医者が頭を握り潰したがる責任を、医者の家族にとらせたかったのが、きっかけでもいい。


私がすっきりする結果になることが、私のために一番いい。


「大きな口。私と、私のしたいことに付き合って。」


医者が守りたかった医者の家族。


医者の背に庇われていながら、医者の背中を斬りつけて、医師が自らいなくなることを選ばせた、医者の家族。


医者の家族は、医者がいない形が、家族としてうまくいっていると信じている。


私は、お父さんにお願いした。


「医者の患者だった人に、偶然会って、医者の良さを話してきて。」


私には、ネットに飛び交うコメントをどうこう出来ない。


出来ないことには、最初から手を出さない。


無駄だから。


ネットの口コミをどうこうすることが出来なくたって、方法はある。


古来からの方法。


私は、リアルの口コミを使うことにした。


人口に膾炙するっていう諺があるぐらいだから、口コミは有効。


お父さんは、私の指示した人に一人ずつ、偶然を装おって近づいていく。


医者の話をさり気なく出して、あの人がいて良かった、と話を締めくくる。


医者として開業していた時代の患者には、セラピストを名乗るようになってからの患者に接触が終わってから、接触してもらった。


お父さんには、一日に、平均して、五人くらいと接触してもらっている。


一人一人と接触する時間は、短時間におさえて、回数を重ねる。


医者の存在を薄れさせないように。


医者の存在が、患者だった人に浸透してきた頃合いをはかり、医者の家族写真を見たことがあって、実際に医者の家族を見かけたという話をしていく。


「先生は、ご多忙でしょうから、お見かけしませんでしたが、奥さまと息子さん、娘さんはお元気そうにしていましたね。」

とお父さんが話すと。


「色々言われたときは、心配しましたが、先生に助けられた身としては、ご家族がお元気そうで、何よりです。」

と返されるようになった。


医者の評価は、医者の患者界隈から、変わっていく。


患者の何人かは、医者の家族の話を胸の内に秘めずに外に出した。


ネットで誹謗中傷され、家族から酷評されて拒絶された医者は、家族とは関係のない場所から再評価され始めた。


家族の知らないところで、ネットに誹謗中傷された悲劇の主役は、医者として患者と向き合うことを貫き通した骨のある御仁だと、評価が覆りだした。


私の企みは、うまく、波に乗った。


これは、まだ始まり。


私の心の黒さを喜ぶ大きな口は、私の横で、笑い転げている。


「ケハケハ、匂い立つようなその黒さ、二つとない、その黒さ。」

楽しんでいただけましたら、ブックマークや下の☆で応援してくださると嬉しいです。


主人公、口コミ、という形で噂を使います。

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