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15.お母さんは、離婚を考えていて、姉娘の私が邪魔になると思っているけれど、お母さんが想像する離婚後の生活を邪魔するのは、私じゃない。お母さんが邪魔だと思わない方の娘だよ。

一夜明けて。


お母さんには、文句を言いたい気持ちもある。


お母さんの非をあげつらっても、何も生み出さない。


お母さんを批判しても、私もお母さんも傷つくだけ。


私は、飲み込んだものをいつか、どこかで、何かと一緒に吐き出すかもしれないし、吐き出さないかもしれない。


私達は、これ以上、傷つけ合う必要はない。


私の目的は、家族四人でいること。


今すぐは無理だと分かった。


壊れるまでは、早いのに、修復するのは時間がかかる。


前と同じにはしない。

形を変えて、私の家族でいられるようにしてみせる。


お父さんには、無計画に誘ったことを謝って。


今まで通り、家の外でお父さんと会おう。


お父さんの創造主を名乗ったお医者さんには、頭を掴まれないようにして、話をしたい。


お父さんの体と心。


お父さんの体は、病気や怪我にどう対処したらいいのか。


創造主というくらいなら、情報を持っている。


お父さんに会ったら、相談しよう。


私は、お母さんと妹に、おはよう、いただきます、ごちそうさま、と行ってきますを言って、家を出た。


今の妹の耳には、お母さんの声しか入っていかない。


私が、妹に声をかけ続けるのは、妹が家族だからにほかならない。


家族じゃなくて、同級生に妹のような人がいたら、私は遠巻きにしている。


今、妹は、中学生。

まだ、お母さんとの距離が近くても、大丈夫。

多分。


妹は、地元の中学に進学したから。

お母さんも同級生も、顔見知りばかり。


自分で考える習慣がないまま高校生になったら、高校生活でつまずくと思う。


小学生の妹は、本人の自覚はともかく、お父さんに謝らせるという役割をお母さんから与えられていて、お母さんのストレス発散に役立っていた。


中学生の妹はどうだろう?まだ、お母さんの役に立っている。


お父さんの代役に、私がいる。


私は、もう高校生。


私が、お母さんの傘の下にいるのは、あと何年か。


私が、お母さんの傘の下から出ていったら、お母さんはどうするつもりだったんだろう?


お母さんと妹の二人。


妹の時間は、小学生のある日で止まっている。


体は中学生になっても、妹の内面は、ずっと小学生のまま。


お母さんが、そうあることを妹に望んで、妹は、お母さんに甘やかされることを望んだ。


妹は、私と二歳差。

私が小六のとき、妹は小四。


人は、毎年、年をとる。


妹は、永遠に小四のままじゃない。


お母さんが、妹の手を離そうとしても、今の妹が、お母さんの手を離すことはない。


今だけじゃなく。

変わらないままなら、妹はずっとお母さんの傘の下にいようとするだろう。


お母さんの傘の下にいることが、今の妹の当たり前だから。


昨日。

お父さんといたいか、お母さんといたいか、と私に聞いてきたお母さん。


お母さんは、お父さんとの離婚を考えていた。


お母さんには、離婚を考える状況の変化があったんだと思う。


お母さんが、お父さんと離婚した後、うまくいくと考えているなら、見通しが甘すぎる。


お母さんは、離婚して、私をお父さんに、と考えていたんだろうけれど。


お父さんと離婚したときに、お母さんの足を引っ張るのは、私じゃないよ、お母さん。


妹だよ。


お母さんは、お母さんにべったりの妹が、お母さんと妹の二人だけになったら、どうなるかを考えてみなかった?


先のこと過ぎた?


それとも、一足とびの未来を見ていた?


妹は、お母さんにべったりだけど。


お母さんは、妹にべったりじゃない。


妹は、このことに気づいていない。


お母さんも、妹にべったりだと思っている。


お母さんが、そう思わせてきたから。


お母さんが、妹の問題を解決しないなら。


妹の存在は、そう遠くない未来で、お母さんの首をしめることになる。


だから、お母さん、妹のことを諦めないで、何とかしてね。


お母さんが、妹の矯正をしている間は、私達は四人家族のまま。


妹の矯正が終わる頃には。


お母さんの身に起こった状況の変化は、一過性の風邪にかかったことになっているよ。


私達は、四人家族だからね。


お父さんも、お母さんも、妹も、私の家族。


一人も欠けさせないよ。


頑張ってね、お母さん。


私は、お父さんに話してくるから。

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