ヨロプ到着
「乗客の皆さんー、ヨロプに到着いたしやしたー。階段を付けるまでどうか座っていて下せぇー」
そう言って御者さんが御者台から降りる。
「着いたねー」
「結構掛かりましたね」
「乗ってるだけなのに疲れましたぁ〜……」
あれから、俺らは約十二時間程馬車に乗りようやくヨロプまで着いた。
道中、あのサソリコウモリ以外のモンスターに襲われたり、車輪が外れてしまったりなどのアクシデントがあったが、ミラギさんがいたので何とかなった。
「皆さん、降りて下さって結構ですぅー」
御者さんが乗客全員に聞こえる様にそう言うと、皆んなぞろぞろと階段の方に向かって歩いて行った。
「俺らも降りようか」
「「はいっ!」」
階段を使って馬車から降りる。
「おぉー、ここがヨロプかー……」
前までいた街とは違い、煉瓦で出来た街並みが目に入った。
「ルイド」
「あっ、ミラギさん」
「お前達、中々強かったぞ。これからも頑張りたまえ」
「!」
せ、聖騎士からそんな事を言って貰えるなんて!
「「「あ、ありがとうございます!」」」
「では私はもう行く。ではな」
そう言ってミラギさんは待合場から出て行ってしまった。
「良かったですね、ルイド様」
「ああ、聖騎士からあんな風に褒めて貰える事なんてほぼ無いだろうし、本当に良かった……」
俺も、それくらいには強くなれてるのかな……。
「よーし、どうしようか?」
「そうですね……この国の王様と会わなきゃですので、一番最初に王宮に行くのが良いと思います」
「だね、じゃあ行こうか」
「「はいっ!」」
そうして俺は王宮に向かって歩き始めた。
「うわぁー……!」
王宮に行く通りには、沢山のお店があった。
あの街よりも多いかもしれない。
「ル、ルイド様! あれは何でしょうか!?」
「あれは……ホットドックだね」
「あれは!?」
「ワッフルだね」
「あれは!?」
「チュロスだね」
いやさっきから食べ物しか聞いてこない!
他に武器とか装備とかあるのに!
「ラルム、何か食べたいの?」
「あうっ……うぅ……」
食べたいんだな。
「あ、あぁー、なんかお腹が空いてきたなー。ちょっと王様に会う前に少し何か食べたいなー」
「! そ、そうですねー、思えば馬車の中で何も食べてませんでしたからねー、私も何か食べたいですー。ラルムはー、どうですかー?」
おお! さすがエリシア! 空気を読んでくれた!
さあ後はラルム、言うのだ。私も食べたい、と……!
「……」
ラルムは、少しの間モジモジしてから
「わ、私も食べたいです!」
と叫んだ。
「「よしっ」」
俺らは顔を見合わせてニヤッとしながらサムズアップをする。
「そうと決まれば早速行こう……と思ったんだけど、ラルム的にはどこが良いのかな?」
「ルイド様が馬車の中で話していた、ボリーブという料理が食べたいです!」
「ならそこにしようか」
「はいっ! ありがとうございます!」
その後俺らは近くにあった地図を見て、ボリーブがある店へと向かった。
「おぉー! ここですかぁー!」
「結構古風な感じの見た目だね」
「入ってみましょう」
そうして俺らは店の中へと入る。
「いらっしゃいませー! 三名様ですか?」
おお、なんか凄い元気そうな店員さんだな……。
「は、はい」
「かしこまりましたー! ご席にご案内しまーす!」
そう言うと店員さんは空いている席へと移動し始めた。
「こちらになります」
「「「ありがとうございます!」」」
そして俺らは席に座り、メニューを開く。
「へぇー、ボリーブって結構色んな種類があるんですねぇー……」
「そうみたいだね。取り敢えず俺らは初めて食べるし、このオリジナルにしようか?」
「そうですね!」
「ラルムは、何が良い?」
「わ、私もそれで……」
「気を遣わなくて良いよ。ラルムの良いなって思ったのを頼んで欲しい」
「で、では私は……このハーブと豚肉入りのボリーブにします」
「分かった」
俺は手を上げて店員さんを呼び、ボリーブを頼んだ。
先程のメニューを見た感じ、ボリーブは野菜炒めみたいな感じらしい。
でも、写真には見慣れない野菜もあったので、どんな味なのか結構気になる。
「お待たせいたしましたー!」
他愛もない話をしていると、店員さんがボリーブを持って来てくれた。
「うわぁ……美味しそう……!」
「じゃあ、食べるとしようか。いただきます」
「「いただきます!」」
そして俺はフォークを使って綺麗な緑色の野菜を口に入れる。
「!」
な、何だこれ……めちゃくちゃ美味い!
野菜がめっちゃシャキシャキしてて……それでいて滑らかだ……!
というか、味付けも凄いしっかりしてる。
野菜の苦味が舌に程よく伝わってくるのに、ジワッと甘さが引き立てられてられる。
「美味しいですね……!」
「ああ、最高だなこれ」
「もぎゅもぎゅ」
俺らは即行で完食し、おかわりまでした。
幸いお金なら沢山あるし、もっと食べても全然払える。
「ふぅー、ごちそうさまでした」
「「ごちそうさまでした」」
「いやーそれにしても美味しかったね」
「ですね! 野菜のあの旨みが堪りませんでした!」
「ラルムのハーブと豚肉入りのはどうだったんだ?」
「え、えっと、ハーブのスゥーッとする風味と、豚肉の味付けが非常に合ってしていました!」
「そっか、美味しかったなら良かった」
「はいっ!」
「それじゃあ、お店から出ようか」
「かしこまりました」
「分かりました!」
そして俺らはお会計をして店から出た。
「さて、と、そろそろ王宮に行くべきかな?」
「そうですね、そろそろ行った方が良いと思いますけれど……そういえば私達、王宮への訪問時間って聞いてませんよね?」
「ああ、確かにそうだね」
「つまり、アポ無し訪問になってしまう訳ですよね?」
「……だねぇ……」
「大丈夫……ですかね?」
……あれ? もしかしてマズイ?
「……ま、まあ、向こうが何か言って来たら、訪問時間言われてませんとか言えば良いと思うよ」
「そ、そうですね!」
何か……ちょっと心配になって来たぞ……。
で、でもまあその時はその時だ! 取り敢えず王宮に行こう!
「それじゃあ行こうか、王宮に」
「「はい!」」
そして俺達は、王宮に向かって歩き出したのであった。




