表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/63

鉱石採取

「ふんっ! ……おぉう……」

「やっぱり、ちょっとキツイですね……」


 俺らは今クエストでベージャ鉱石という物を採取しなければならないのだが……。


「うん、思ってたより、硬い!」


 しかも俺らには採取道具とかそういう物が無い!

 あぁそういえばギルドから出る時受付嬢さんが少し不思議そうな顔をしてたけど、これか! これの事を不思議がってたのか!


「これは……中々の重労働になりそうですね」

「そうだな……」


 手元にある道具は短剣一本のみ。

 ……これでどう採取しろと?

 いやまあこれで来た俺らも俺らなのだが。


「そうだ、キーちゃんならば採取出来るんじゃないか?」

「確かに! お願いしますキーちゃん!」

『アァォン!』


 キーちゃんがベージャ鉱石に右腕を振りかざす。


「「「……」」」


 ベージャ鉱石は、跡形も無く消え去った。


「ダメ……か……」

「強すぎるようですね……」

「あわわわ……」

『アォ〜ン……』


 キーちゃんがごめんと言っているような鳴き声を出した。


「気にしなくていいよキーちゃん。逆に、キーちゃんの強さがよく分かった」

『アォン……!』


 ありがとうと言っているような鳴き声を出しながら、俺に顔をスリスリとして来た。

 可愛いっ。


「取り敢えず、頑張って俺らで採取するとしよう」

「分かりました!」

「はい!」


 そこから俺らは短剣やそこら辺の石を使ったりなどしてベージャ鉱石を採取した。

 キーちゃんには辺りを警戒してもらって、襲ってこようとするモンスターがいたら倒してもらった。

 そして数時間ほど掘り続けて……


「意外と結構な量が取れたな」

「そうですね」

「ですね」


 俺のポーチにようやく収まり切るかどうか位の量を採取出来た。


「それじゃあ帰ろうか」

「「はい!」」


 そして俺らは冒険者ギルドに帰ろうとした――が


『『『『『ギロロロロロロロロロロロロロロロロ』』』』』

「「「!?」」」


 背後に、大量のトカゲのモンスターがいた。

 体に氷を(まと)っていて触れたら間違いなく凍傷してしまうだろう。


「キーちゃん!」

『アァォン!』


 キーちゃんが大量のアイストカゲの群れの中に突っこむ。


「俺らも行くぞ!」

「かしこまりました!」

「は、はいぃ!」


 短剣を抜き、俺らもアイストカゲの中へ突っこ――もうとした。

 あれ、そういえば、エリシア達は武器を持ってるんだっけ?

 ダンジョンでは見たことがなかった。

 ので、一度立ち止まって振り返り、エリシアたちを見る。

 すると、懐から杖を取り出していた。


「もしかして、エリシア達は【召喚】以外にも魔法を扱えるのか?」

「はい、私は火属性の魔法が扱えます」

「わ、私は風魔法が扱えますぅ……!」


 凄いなぁ、俺は全然扱えなかった。

 スキルへの適正はあるのだが、魔法への適性はなかった。

 魔法とスキルの違いは何なのかと思うだろうが、まだよく分かっていない。


「なら心強い! 頼むぞ!」

「お任せ下さい!」

「ま、任せてくらひゃい……!」


 そう言うとエリシア達はキーちゃんが倒し損ねたアイストカゲを倒し始めた。

 勿論、俺も短剣でアイストカゲを倒した。

 それにしても、数が多い。

 倒しても倒してもどこからか湧いて出て来る。


「エリシア! ラルム!」

「はい!」

「な、何でしょうか!?」

「俺はキーちゃんと一緒に恐らく近くにあるアイストカゲの()を叩いてくる! だから、今ここにいる奴らを任せて良いか!?」

「もちろん構いません! ご武運を!」

「い、行ってらっしゃいませ!」


 俺はキーちゃんと顔を見合わせ、キーちゃんに乗っかってアイストカゲが流れている方向の真反対向かった。


「ここか……っ!」


 一つの少し大きめの石の下から、アイストカゲ這い出している。

 どうやら、この下に巣がある様だ。


「キーちゃん頼む!」

『ア゛ォォン!』


 キーちゃんに石破壊して貰うと、大量のアイストカゲが小さな空間にうじゃうじゃと蔓延(はびこ)っていた。

 絵面的にめちゃくちゃ気持ち悪い。


「クソ……どうする……!?」


 俺の短剣じゃ流石にこの量のアイストカゲを(さば)けない。

 やろうものなら一瞬で氷漬けだ。


『アォン!』

「ん? なにか策があるのかキーちゃん?」

『ア゛ォン!』


 そう吠えたキーちゃんは……


『ゴオォォォォオオオオオ!』


 炎を吐き出した。


「えぇっ!? キーちゃんって炎吐けるの!?」


 そういえば、キマイラは炎を吐けるって聞いたことがある!


「す、凄いなキーちゃんは……」

『ゴオォオォオオォオ!』


 炎を吐きながら鳴いた様だが、よく聞き取れなかった。


『『『『『ギロロロロロロォォォォォォォ!』』』』』


 アイストカゲ達がキーちゃんの炎でどんどんやられていく。

 そして段々と出てくるアイストカゲは減り……遂には出てこなくなった。

 キーちゃんが炎を吐くのをやめて


『アォン!』


 と一声吠えた。


「よしっ!」


 キーちゃんから降りて、少しだけ残っていたアイストカゲの尻尾を回収する。

 売れば多少の金になるからだ。


「それじゃあ急いでエリシア達の元へ戻ろう!」

『ガウ!』


 再度キーちゃんの背中に乗り、エリシア達の所へと向かう。


「【焔球(えんきゅう)】!」

「【ぼ、暴風龍(ぼうふうりゅう)!】」


 エリシア達が唱えた魔法により、アイストカゲが凄い勢いで倒されていった。


「これは……」


 俺の出る幕は無さそうだ。

 まあ、俺が出来るのって【召喚】と、基本的な短剣の剣術だけだからな……。

 ……なんか悲しくなってきた。

 主にスペックの違いに。


『ギ、ギロ……』


 最後の一体がやられ、動いているアイストカゲはいなくなった。


「あっ! ルイド様!」


 二人が俺の元へ駆け寄って来る。


「お疲れ。凄かったな今の魔法」

「お褒めいただきありがとうございます」

「あ、ありがとうございます」


 エリシアの杖からはオレンジ色の綺麗な炎の球が何個も放出され、ラルムのからは何となく輪郭(りんかく)が分かる龍の様なものが出ていた。

 魔法をよく知らない俺でも分かる。

 凄い魔法だと。


「そういえば、さっきキーちゃんが炎を吐いたんだよ」

「えっ!? そんな事出来たのキーちゃん!?」

『アォーン!』

「え? エリシアも知らなかったのか?」

「はい……あ、恐らく、レベルが上がって出来る様になったのだと思います!」

「あーなるほど! そういう事か!」


 確かに、炎を吐けるならばダンジョンで俺らが人喰い植物達に追われている時にとっくに吐いてるか。


「じゃあ、俺はこいつらの尻尾切っちゃうから少し待ってて」

「かしこまりました」

「分かりました」


 俺はアイストカゲの尻尾を切り、ベージャ鉱石の少しだけ空いたスペースに突っ込めるだけ突っ込んだ。


「よし、それじゃあ帰ろう!」

「「はいっ!」」

『アァォン!』


 そうして俺らは、冒険者ギルドへと帰ったのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ