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ボクの名は  作者: 深海くじら
弥生

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――笠地蔵六140字小説(三月二十日~三月二十六日)「少年と彼女(仮題)」6

笠地蔵六 @kasajizorock


「私は通信が可能な環境であれば、常にネットと繋がっています。もちろん今も。そして共有化された他のちさとの経験をダウンロードして使用できるのです」

「共有化?」

サトルの問いにちさとは答える。

「毎晩私は出かけますよね。あのときに、体内に入った食物を取り除き、経験値を提供するのです」

―――――午後8:00 · 2023年3月20日



ですが、と続けるちさとは、自分の胸に手を当てた。

「共有するのは経験と、そこから得たスキルだけ。サトルさんやお母様と過ごして得たセンシティブ情報は私の個体が保有するRAMにしか記録されません」

「センシティブ情報って?」

「人には聞かれたくない、とても親密で個人的な想いのことです」

―――――午後7:19 · 2023年3月21日



「私の説明で解りますか?」

そう窺うちさとにサトルは起き上がって答えた。

「僕だって来月には五年生になるんだよ。ちゃんと解ってる。ちさとは百人いてそれぞれが覚えたことをみんなが出来るようになるんだけど、僕のちさとは今目の前にいるちさとひとりだけ、ってことだよね」

ちさとは微笑んだ。

―――――午後6:10 · 2023年3月22日



義父の、母親との離婚や家庭内暴力についての結審は想像以上に早く片が付き、三週目が終わる週末にはすっかり元に戻っていた。唯一姉がいないことを除けば。

裁判所からの帰り途、サトルはちさとの手を握って歩いていた。ひと段落ついたお祝いにファミレスでご飯にしよう、と母親が提案してきたのだ。

―――――午後7:40 · 2023年3月23日



「ちさとちゃんには本当に感謝してる。あなたが来てくれなかったら、今頃サトルと私はあの男に壊されてたと思う。きっとあの子が生まれ変わって助けに来てくれたのね」

母親の言葉にちさとはかぶりを振った。

「それは違います、お母様。私はただ、サトルさんをマスターと刷り込まれて伺っただけです」

―――――午前2:37 · 2023年3月25日

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