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ボクの名は  作者: 深海くじら
弥生

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――月波140字小説(三月二十日~三月二十六日)「エミールの旅」6

月波 @tsukiandnami


暖かいスープを飲んで一息ついたリヒラは、ゆっくりと話し始めた。

「さっきの煙だが、あれは商隊が野盗に襲われたところだ」

やとう?やとうって何?

意味が解らないボクはただ聞くだけ。

「俺が着いたときには既に粗方終わっていた。争いは終り馬車は焼かれ、めぼしい物は持ち去られようとしていた」

―――――午後10:10 · 2023年3月20日



呻き声が聴こえたのでそちらを見ると、男の子が声を殺して泣いていた。

「この子の父親が隊商のリーダーだった。北の村に交易に行ってその帰り途だったようだ」

「この子のお父さんは?」

ボクの質問にリヒラは低い声で応える。

「隊商の連中は皆殺され、俺が行ったときには、ちょうどこの子の父親も」

―――――午前2:36 · 2023年3月22日



少年の名はヤナハ。翼という意味だそうだ。歳は十三になったばかり。ボクの方が半年上だ。父親の仕事を覚えるために一緒についていったはじめての隊商で、野盗に遭ってしまったという。馬車に火矢を撃たれ、慌てて飛び出した仲間は待ち構えていた矢で全滅。逃げ遅れた少年は命拾いしたが、父は斃れた。

―――――午後6:44 · 2023年3月22日



「この子たちの行先は俺たちと同じ街、ニライカナイだった」

リヒラの言葉にヤハナが重ねる。

「北の村を回って仕入れた品物を叔父さんの、父の兄がやってる店に届けるために旅してきたのに、みんな殺されて、荷物も全部……」

スープを食べ終え少し落ち着いたヤハナは、また思い出しちゃったみたい。

―――――午後7:14 · 2023年3月23日



あの翌々日に次の村に着いたボクたちは、ひとまず宿に腰を落ち着けた。今までになく人が多く、しかもみんないろいろな格好をしていた。ここがニライカナイなの?と尋ねたら、あそこはここの何十倍も人がいるし店も多い、とリヒラは答えた。

晩ごはんの後、リヒラはボクらを残して夜の街に出て行った。

―――――午後6:56 · 2023年3月24日

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