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ボクの名は  作者: 深海くじら
弥生

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――笠地蔵六140字小説(三月十三日~三月十九日)「少年と彼女(仮題)」5

笠地蔵六 @kasajizorock


日曜の朝、サトルはTVを観ていた。義父がいた頃は見せてもらえなかった特撮ドラマ。小さい頃、姉と一緒によく観ていたシリーズだ。ひさしぶりなので筋はよくわからないけれど、アクションシーンは楽しめた。

「オートバイ、乗ってみたいな」

後ろから急に声がした。

「乗ってみますか、オートバイ」

―――――午後11:13 · 2023年3月13日



水筒とちさとの作ったサンドイッチを持って、サトルとちさとは駅前の駐輪場に出かけた。レンタバイクの一台にちさとが腕時計端末を掲げると、エンジンがかかる。

「ちさとさん、乗れるの?」

「別の私が先週習得して共有していた運転技術と免許をダウンロードしました」

ちさとは事も無さげに答えた。

―――――午前1:10 · 2023年3月15日



よく晴れた春の午後、海沿いの道を滑るように走る二人乗りのバイク。複雑な海岸線の先にある眺望の良い駐車場でオートバイを停め、ふたりは海を臨む展望台に立った。

「あの番組の最終回で使われてた景色だ」

サトルが呟いた。

「よかった。間違ってなかったようですね。お姉さまとご覧になった番組」

―――――午後6:30 · 2023年3月15日



春の海をふたり並んで観ながら、サトルは思い出していた。姉とふたり、TVの前に並んで食い入るように見つめた最終回のラストシーン。姉の紅潮した横顔を密かに覗き見た日曜の朝を。

サトルの頬に涙が伝った。

「ちさとさん。手を繋いでもいい?」

柔らかい笑顔で頷いたちさとはサトルの手を取った。

―――――午後10:19 · 2023年3月16日



「美味しい!おうちでこんなのつくれちゃうの?」

珍しく早く帰ってきて一緒に食卓を囲んでいた母親が感嘆した。

「ちさとちゃん、こんなお料理、いったいどこで覚えてきたの?」

皆と同じものを口に運び、飲みこんでからちさとは答えた。

「別のちさとが最近イタリア料理のお店で厨房を任されまして」

―――――午前0:58 · 2023年3月18日



「ちさとはいったい何人いるの?」

ちさとが家に来て二度目の水曜の夜に、ふとんにくるまったサトルが尋ねた。

「サトルさんの傍にいるちさとは私ひとりですよ」

ちさとの答えにサトルは頬を膨らませる。

「この前もバイクのときも、別のちさとって言ってたでしょ。それってどういうことか聞いてるの」

―――――午前2:20 · 2023年3月19日



「ちさとは、今年末に発売予定のハイスペックヒューマノイド『アイム』に用意された五種のラインナップのうちの一種です。ちさとの他にはあおい、さくら、かなた、こうきがいて、今は其々がβテストのモニターとして稼働しています。ちさとは私を含め百体。ですから、私の正式な名前はちさと28です」

―――――午前0:53 · 2023年3月20日

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