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ボクの名は  作者: 深海くじら
弥生

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四十九話 瑞稀、春分(一)

 春本番を思わせる好天続きだった先週とは打って変わり、今週の始まりは肌寒く、コート姿に逆戻りです。クリーニングに出すのを迷っててよかった。


 月曜の朝オフィスに入ったら、珍しく先に来ていた営業部長に呼び出されて席にもつかずに打合せ室へ。正式な内示です。これで四月からは総務部付き。でも新部署名はまだ決まってないんですって。「広報課」じゃないのかしら?


 異動がオープンになったら、急にやることが増えました。通常の年度末締めのほかに、引き継ぎの資料作りも。誰が私の後釜になるのか決まってないらしくて、口頭での引き継ぎができません。場合によっては新規の契約社員さんが拝命するかもって話もあるので、懇切丁寧なマニュアルが必要だというのです。

 なんてこった! 私のときにはそんなものなかったのに。


 仕事の合間を見つけて資料室にも顔を出します。灰田さんの宿題に手を付けとかないと。あとからって思ってたら時間が無くなった、なんて経験なら今までに何度もあります。


          *


 夜、家に帰っても、なかなか疲れがとれない。週の初めだっていうのに、まだ締めには日にちもあるのに、月曜からの残業はこたえます。帰り道のスーパーで半額になっていたお弁当を食べ終えて、食後のコーヒーを淹れたらもう十時。お風呂入ってエミールの続き書くのが精一杯です。

 そういえば、明日は世に言うホワイトデー。今日のロッカーでも、明日の予定の話題で浮足立ってる女の子たちが何人もいました。でも、私には関係ない。バレンタインは華麗にスルーしちゃいましたから。この調子なら、明日の夜もデスクでひとり残業することになるんでしょうね。


          *


 火曜日。朝は昨日以上に冷え込んだ感じでしたが、お天気のおかげで昼前には過ごしやすくなりました。那珂川沿いの桜も色づいてきた感じ。三月半ば。そろそろ本気で春です。


 明日は定年退職される方の送別会が開かれるということで、その打ち合わせも兼ねてお昼は部署の女子たちと一緒でした。ある意味私も送られる側なんですけど、会費は等分に取られるみたい。

 マスク着用が解除されるという申し送りの他はこれといった内容の無い打ち合わせなんか五分で済んで、ランチの話題はもっぱらホワイトデー。私には関係ないと決め込んで、食後はろくに聞き役もしないでスマホばかりを眺めてたら、栄さん激推しの『あまちゃん』が四月から再放送されるって記事にぶつかりました。観ないと死ぬって言ってた朝ドラですね(笑) 月金、じゃなくて月曜から土曜の毎朝七時十五分から。ぜんぜん出勤前ですし、話のタネにひとつ観ておこうかな。

 てなことを考えながら含み笑いしたら、いつの間にか私が矢面に。どうやら灰田課長ネタで話題に挙げられたようです。そんなので羨ましがられたりやっかまれたりされても、私困るんですけど。そもそも異動は会社が決めたことで、こっちの意図なんてこれっぽっちも反映してたりしないんですが。

 課長のことはよく知らないし広報なんかもやったことないから正直なんにもわかりません。もちろんですが課長の今夜のご予定なんかも、まだ部下でもなんでもない私なんぞが把握してるはずなど寸分たりとも有り得ませんし。


 それにしても灰田さん、女性陣からは随分と評判良いんですねぇ。そんな人気者の下で大丈夫なんでしょうか、私。

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