表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボクの名は  作者: 深海くじら
弥生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/239

――笠地蔵六140字小説(三月六日~三月十二日)「少年と彼女(仮題)」4

笠地蔵六 @kasajizorock


「どうすれば別れられます?」

母親が口を開いた。振り返った女に少年も強く頷いた。少年の顔に微笑んだ女は、再び母親に向き直った。

「端末データ、近隣の防犯カメラ映像等の状況証拠は既に揃いました。申請していただければ、信頼できる弁護士AIを通して、すぐにでも手続きに入ることができます」

―――――午後6:00 · 2023年3月6日



「状況証拠?端末だと?」

女の膝の下で俯せになった義父が呻いた。

「はい。お姉さまが塾に通い出した時点からお亡くなりになるまでの三年半の近隣および投宿先の各種防犯カメラ映像、Nシステム、および貴方の情報端末の通信ログ、通信文書ログ、それに通話音声記録等より該当するもの四千点以上を」

―――――午後6:30 · 2023年3月7日



「本来なら学校にいる時間に送られた画像付きDM、抗うお姉さまを無理やり車に押し込む場面、午後のホテル街を制服姿の女性を引きずって歩く貴方。人間の目撃者を募る事は叶わなくても、たくさんの屋外カメラが、通信ログが貴方の悪行を証言します。貴方を告発するのは人間の弁護士でも容易でしょう」

―――――午後8:48 · 2023年3月9日



女が呼んだ弁護士の立会いの下で男は着の身着のままで追い出された。口座は全て押さえ、家にある全ての財産を没収した。離婚届もその場で作り終えている。慰謝料の請求を薦めてきた弁護士に、母親は二度と関係を持ちたくないという理由で断った。

「ごめんねサトル。母さん、一から出直すから見てて」

―――――午後9:40 · 2023年3月9日



「ありがとう、ちさとさん。おかげであの男を追い出すことができた」

全てが終わり、最後に弁護士が帰った午前二時過ぎ、寝ずに見届けた少年が女に寄り添って礼を言った。

「まだ一日目ですよ、サトルさん。私がお役に立つのはこれからです」

母親からの希望もあり、女は一緒に住むことになっている。

―――――午後6:18 · 2023年3月10日



「おはようございますサトルさん、ご飯の準備ができてますよ」

ちさとの声でサトルは目を覚ます。ちさとがうちに来て三日目。今日は月曜日だ。

昨日はサトルも母親も昼まで寝過ごしたが、起きた時には昼食が用意され、玄関の扉も既に直っていた。たった一日でちさとは必要不可欠の家政婦になっていた。

―――――午後9:20 · 2023年3月11日



一週間経ち、ちさとは、夜に二時間ほど出掛ける以外はすっかり家事全般担当になった。母親は仕事に専念でき、サトルも気持ちが安定して笑顔を見せるようになった。帰りたくなかった家も、ちさとが待っているから学校帰りの足取りも軽い。姉さんの沈丁花はつぼみを膨らませ、もうじき花を咲かせそうだ。

―――――午前1:40 · 2023年3月13日

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ