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ボクの名は  作者: 深海くじら
弥生

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――笠地蔵六140字小説(二月二十七日~三月五日)「少年と彼女(仮題)」3

笠地蔵六 @kasajizorock


雨が強くなった夜半、改造ワンボックスの後部で早めの更新メンテナンス中、スリープしていた女の脳内に警報が鳴った。少年からのエマージェンシー。瞬時に起動した女は、車型全自動ドックから飛び出した。急がなければいけない。少年の家まで走って三分。マスターの守るものとマスターを助けるために。

―――――午後8:39 · 2023年2月27日



把手を捻る。開かない。扉→代替可能生産物=ILv2。一瞬で精査した女は、一切の躊躇なく扉を留金ごと引き抜いた。上がり框には蹲る少年。廊下には折れた竹刀。廊下の向こうから鋸を手にした男が鬼の形相で迫ってきた。背後から止める女性を引き剥がして。廊下に踏み出した女は静かに男と対峙する。

―――――午後6:30 · 2023年2月28日



「なんだお前は?」

怒気を孕んだ強い口調で男は言い放つ。

「私はサトルさんの守護です。サトルさんとサトルさんの守るものを脅かす状況を改善するためにここにいます」

安定した静かな口調で女は応えた。

顔を上げたサトルは、自分と義父の間に立つちさとの後姿に見惚れた。新しい何かが起きている。

―――――午後8:34 · 2023年3月1日



女相手にはさすがにマズイと思ったのだろう。少年の義父は鋸を横において、女に殴りかかった。拳が頬を打つのに思わず目をつぶる少年。ぱしっという音で目を開けると、女の右手が顔の寸前で義父の拳を掴んでいる。

「記録しました。これは正当防衛です」

空いた手で腕を掴むと、女は義父をねじ伏せた。

―――――午後6:50 · 2023年3月2日



「サトルさん。いかがいたしましょう」

呻く義父を押さえつけたままで、女は少年に言った。

「証拠映像もありますし、必要であればすぐにでも警察を呼ぶこともできますが」

少年は起き上がって尋ねた。

「呼んだら、お義父さんはどうなるの?」

「逮捕され、収監されます」

「ずっと?」

「たぶん数日」

―――――午後9:09 · 2023年3月3日



俯いた少年は首を振った。

「帰ってきちゃうんじゃ駄目だよ」

起き上がろうと暴れる義父に体重をかけて再度抑え込んだ女は廊下の奥を振り返った。

「だそうです。お母さまは如何されますか?」

奥でへたり込んでいる少年の母親は、玄関を破って乗り込んで来た女に判断を求められて、瞳に光が浮かんだ。

―――――午後9:20 · 2023年3月4日



男は娘が通っていた塾の講師。温厚そうに見えた男は、先夫と死別後の数年間を子どもたちだけに費やしてきた私にとって僥倖だった。だが再婚後、夫が見るのは私ではなく娘だけ。娘が夫に何をされていたのかは知らない。その娘が自ら命を絶ったのは、笑わなくなって半年のこと。そして夫は本性を現した。

―――――午後6:00 · 2023年3月5日

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