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ボクの名は  作者: 深海くじら
長月

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224/237

――月波140字小説(八月二十八日~九月三日)「エミールの旅」17

月波 @tsukiandnami


「ねえ、リヒラ」

ボクは顔を上げて尋ねてみた。

「お父さんとお母さんに、新しい希望はプレゼントできたの?」

少しだけ困った顔を見せたリヒラは、ボクに小さなタオルを差し出しながら答えてくれた。

「ああ。少なくとも手渡すことはできた。無事産まれ、育つことができるかは、お前の両親次第だよ」

―――――午後9:17 · 2023年8月29日



タオルで思いっきり顔を拭った。涙も汗も鼻水も、余すところなく全部。そうしてピカピカになった顔で、できる限り最高の笑顔をつくってリヒラに言った。

「ぜーんぶわかった。父さんと母さんの想いがあるからボクがここにいるってこと」

それから、考えてたことを口にする。

「ボクは、勉強がしたい」

―――――午後8:20 · 2023年8月30日



「ものづくりの基礎は父さんと母さんに教わった。だからこれからはもっと知識を得て、歴史を学んで世界を知って、リヒラみたいに人と関わっていけるようになりたい」

話してるうちにどんどん前のめりになるボクを嗜めるように、リヒラはゆっくりと話す。

「俺の真似などしなくてもいい。お前はお前だ」

―――――午後8:45 · 2023年9月1日



「今、俺たち人類は黄昏を迎えている」

リヒラは厳しい顔で俯いた。

「あと十代、保つかどうかもわからん」

でもな、と言って顔を上げるリヒラ。

「稀にだが、人が増え、大きくなる街もあるのだよ」

目に力が漲る。

「そういう街は、例外なく女たちが立派だ。賢く聡明で、しかも体も強く、更に多様だ」

―――――午後8:21 · 2023年9月2日



だが、とリヒラは続ける。

「学問を究めた女はまだまだ少ない。学問と生活力、それに知見が加わった女たちが増えれば、人の世界は新しいフェイズを迎えられる。世界を見てきた俺はそう思う」

リヒラは真っ直ぐボクを見据えた。

「だからエミール、お前はそんな女を目指してくれ。最初の門は俺が開く」

―――――午後9:43 · 2023年9月3日

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