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ボクの名は  作者: 深海くじら
葉月

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――笠地蔵六140字小説(七月三十一日~八月六日)「三十日間のペアリング」12(「少年と彼女」改題)

笠地蔵六 @kasajizorock


もつれ込むように生垣の足元に倒れ込んだふたり。下になった元義父の右手が動きナイフが白く光る。起き上がるのがやっとのサトルは、足が竦んで動くこともできない。

長い刃先がちさとの脇腹に刺さった。みるみる赤く染まる診察着。それを待っていたかのようにちさとの左手がナイフを持つ手首を掴む。

―――――午後8:30 · 2023年7月31日



鈍い音とともに柄から手が離れた。元義父の短い悲鳴。右手首があらぬ向きに曲がっている。

稼働終了時間が近い。ちさとは脇腹に刺さったナイフを引き抜き、サトルの近くに投げた。

「サトルさん、これで身を守って。でも自分から攻撃しては駄目。私は大丈夫だから」

抑え込まれた元義父が声を上げた。

―――――午後7:44 · 2023年8月1日



「何してるお前ら!この女を引き剥がせ。こいつは丸腰だ。何をどうしたって構わない」

腰を抜かしていたふたりが弾かれたように動き出す。血染めの診察着から伸びる白い足が彼らの精気を復活させたようだ。

立ち塞がんと足を踏み出すサトルの気配を、ちさとの言葉が再度制した。

「私を守らないで!」

―――――午前0:37 · 2023年8月3日



ちさとの覇気に押され、ナイフを持ったまま立ちすくむサトル。同様に怯んだふたりの男の方はすぐに呪縛から逃れる。女は足首と脇腹を刺され抵抗などできやしない。しかもおっさんを抑え込むので懸命だ。こりゃヤり得だろ。

サトルの眼前で襲いかかった男たちが、ちさとの背中の襟を掴んで引き裂いた。

―――――午後9:03 · 2023年8月3日



簡素な診察着など無きが如く、乱暴な男たちの手によってちさとは裸に剥かれていた。

「イジリ回すより先に、こいつを俺から引き剥がしてくれ!」

元義父の命令は、ちさとの身体をまさぐる男たちには届かない。いや、引き剥がそうとはしていた。その方が自分たちが愉しみ易いから。だが、動かないのだ。

―――――午後8:27 · 2023年8月4日



「この女びくともしねえ」

「胸でも揉んでよがらせりゃと思ったが、反応どころか息遣いひとつ無い」

「てか、こいつ死んでねえか?!」

「おいおっさん、どうなってんだよ?」

「駄目だ。おっさんも落とされてる」

男の片方がサトルに振り返った。

「小僧。お前、俺たちを知らないよな」

頷くサトル。

―――――午後10:28 · 2023年8月5日



「俺たちのことは見なかったことにしろ。この女も、おっさんも知らない。喋ったらどうなるか判るよな」

男たちはサトルを睨みつけた。迫力に耐えかねたサトルは力無く下を向く。

「じゃ、俺たちはもう行く。あばよ」

裸のまま動かないちさとと組み敷かれたままの元義父を残し、男たちは門に向かった。

―――――午後10:27 · 2023年8月6日

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