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ボクの名は  作者: 深海くじら
文月

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――笠地蔵六140字小説(七月二十四~七月三十日)「少年と彼女(仮題)」11

笠地蔵六 @kasajizorock



急に押さえ込む力が無くなって、体を起こすサトル。その目の前には、左足首に鉈を食い込ませたちさとが仁王立ちしていた。

ちさとは千切れかけた脚を軸に右脚を一扇する。

吹っ飛ぶ元義父。バランスを崩して倒れ込むちさと。

「ちさと……さん、足が……」

「私は大丈夫です。それよりサトルさんは?」

―――――午後6:38 · 2023年7月24日



茂みに蹴飛ばされた元義父が起き上がってきた。手加減したのか、それとも軸脚がやられてて力が乗らなかったのか。元義父の目がギラついている。右手にはコンバットナイフ。

玄関の男たちも走ってきた。こちらのふたりは金属バットと鉄パイプ。

立ち上がったちさとは鉈を曲芸のように振り回して見せた。

―――――午後8:02 · 2023年7月25日



「すげえイイ女だ。こいつ、姦っちまっていいんスか?」

興奮する助っ人ふたりに元義父はもごもごと答えた。

「ぶっ飛ばせればな。だいたい、先に俺が飛ばされたし」

口に溜まった血混りの唾を吐き出すと、残忍に笑う男。

「でもな。こいつの軸足はお釈迦にしてやったぜ。蹴りもたいしたことなかった」

―――――午後7:02 · 2023年7月26日



ちさとは演算した。現時点で打撃力は七割、近接戦闘能力も三割、各々下がっている。有効稼働時間は残り八分。緊急メンテチームは到着まであと三十分、通報済の警察巡回も十五分はかかる。一味の無力化は単独での完遂が必至だ。一方で90sに対する脅威は元義父のみ。残りふたりの目的は私の蹂躙だけ。

―――――午後9:43 · 2023年7月27日



ちさとの足元に座り込んでいるサトルは、ちさとが鉈でお手玉してる間も彼女の左足首から目が離せずにいた。ぱっくりと割れ、骨まで届いている深い傷口からはピンクがかった赤い液体が漏れ出すように流れ出ていた。

ちさとが人間でないことは解っている。けれど、その傷が見過ごせるものでないことも。

―――――午前1:19 · 2023年7月29日



曲芸で時間をつぶしていても敵に利するだけ。ならば分断と集中を。

ちさとは投げ回していた鉈を手刀で両断した。宙に飛んだ分厚い刃先を指で挟むと、手首だけでそれを投げる。

美女のジャグリングに見入っていた助っ人ふたりの足下。その狭い隙間に鉈の手裏剣は一瞬で突き刺さり、完全に地中に消えた。

―――――午後11:37 · 2023年7月29日



その場でへたり込んだふたりを無視して、ちさとは右脚一本で左に跳躍した。蹴り込まれた生垣から立ち上がって長尺のナイフを構え腰を落とす元義父に、身体ごとぶつかっていく。

「あぶない!」

思わず叫んだサトルの声に反応したのか、元義父は反射的にナイフの右手を引いた。人を殺す覚悟は無いのだ。

―――――午後6:40 · 2023年7月30日

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