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ボクの名は  作者: 深海くじら
睦月

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――笠地蔵六140字小説(一月十六日~二十二日)「無題」3

笠地蔵六 @kasajizorock


「代表で三年生のお見送りに出たい人……」

議長の言葉が終わる前にきみは手を挙げた。無抽選だ。二時間近くもただ単に名前が呼ばれ続けるだけの式など誰も出たがらない。きみ以外は。

この校舎で先輩の姿を見られるのはその日が最後。出席しない選択肢は無い。そして最後の坂の下で想いを告げるのだ。


午後10:13 · 2023年1月16日

笠地蔵六 @kasajizorock


友だちが自慢げに生徒手帳を見せてくる。開かれた見返しにはモノクロ写真の少女が挟まっていた。

「いいだろ。写真部の奴に二年の教室撮らせて、焼いてもらったんだ」

ちょっと吃驚した表情の可愛い下級生。学び舎の一コマだ。羨ましい。きみが手帳に仕舞っておきたいひとはもう卒業してしまったのに。


午後9:03 · 2023年1月17日

笠地蔵六 @kasajizorock


中学に入って初めてきみは風邪を引いた。発熱三十八度五分。よりによって入試の当日に。目指すは先輩が通う高校。なんとしても入りたかったし、模試判定もAだった。

インフルじゃ無かったから保健室で受けれたきみは、朦朧としてて頭が働かない。絶望しかなかった。発表の日、きみの番号は無かった。


午後10:30 · 2023年1月18日

笠地蔵六 @kasajizorock


弟は学区トップ、きみは学区二番に落ちて滑り止め私立。道が違うことを思い知らされた春。でもね。もともと道は違うんだよ。そりゃたしかに彼の方が有利な選択肢が多くあるかもしれない。その代わり、彼には選ぶことのできない未来だってきみには選べる。かもしれない。きみはきみの道を頑張って走れ。


午後11:31 · 2023年1月19日

笠地蔵六 @kasajizorock


中三の秋に覚醒したきみの脚力は高校になって花開いた。一年春の体力テストで陸上部員を押さえて中距離一位。秋の体育祭でも全校でトップ。我が世の春になる筈だった。

でも流行なんて残酷なもの。女子たちのトレンドは運動でも学力でもなく「コミュ力」にシフトしていた。きみの脚はもはや時代遅れ。


午後11:42 · 2023年1月20日

笠地蔵六 @kasajizorock


はじめて受けた告白に舞い上がるきみ。思わず承諾しちゃったけど、どんな人かもよく判ってなかったんだよね。悪い子じゃなかったし可愛いと思えるところもちゃんとあった。

初めてのデートで勝手がわからないきみは、賑やかな通りを並んで歩きながら、ただ会話を途切らせない事だけに集中してたっけ。


午後9:50 · 2023年1月21日

笠地蔵六 @kasajizorock


友人との旅先で見つけた素敵な景色の絵葉書。きみはその葉書で先輩に暑中見舞いを送る。同級生の彼女のことは思い出さなかったことにした。なんとなく先輩に失礼にあたると思ったから。

旅行から帰ってきたら、返事が届いていた。夏休みに開催されている後期印象派絵画展のお誘い。きみは小躍りする。


午後9:04 · 2023年1月22日

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