表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボクの名は  作者: 深海くじら
睦月

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/237

――笠地蔵六140字小説(一月九日~十五日)「無題」2

笠地蔵六 @kasajizorock


生徒会室は三階トイレの横にある。四脚の長机を二列に繋げ、メンバー全員が席に着いたらもう一杯の細長い部屋。物語なんかのとは大違いだ。でも居心地は最高。クラスのボスと折合えないきみにとっては教室より百倍良い。終業後の空白時間が苦手なきみは、馴染みの放送部員に今日も偽の呼び出しを頼む。


午後6:02 · 2023年1月9日

笠地蔵六 @kasajizorock


担当する委員会の初会合。今日だけはきみが司会だ。議題は役員指名。根回しした委員長が耳打ちする。

「私の友だちを書記にするから」

名前が呼ばれ後列から立ち上がった女子。近づく姿にきみは見惚れる。運動部らしいショートボブ。凛々しいまなざし。はにかんだ口許。きみはもう完全に取り込まれた。


午後10:02 · 2023年1月10日

笠地蔵六 @kasajizorock


弟に彼女ができた。という噂を人伝に聞いた。そんなこと、きみは家ではひと言も聞いてない。相手が同じ学年と聞き、きみは胸を撫でおろす。容姿と実力を兼ね備えた女子テニス部の次期主将らしい。顔と名前くらいはきみだって知ってる。お前の弟とならお似合いだよなと言う友人に、きみは曖昧に頷いた。


午後9:09 · 2023年1月11日

笠地蔵六 @kasajizorock


美術部の展示にはまばらにしか客が来ない。そもそも立地が悪い。生徒会を理由にしてクラスのシフトを免除させたきみは、秋の日差しを浴びながらぼうっと店番してるだけ。入口に現れた人影がきみに声を掛けてくる。先輩だ。約束通り見に来てくれた。立ち上がって案内するきみは、今日一番に輝いている。


午後8:55 · 2023年1月12日

笠地蔵六 @kasajizorock


今日も帰宅路とは逆の本屋で立ち読み。先輩が通り過ぎるのを待っている。九回試して全球空振り。十回めも外れかな。木枯らし吹く表に踏み出したところで、歩いてくる先輩と鉢合わせ。にこやかな笑顔にテンパってるきみ。

「受験、頑張ってください」

鞄の中からキットカット。ずっと用意してたんだね。


午後8:12 · 2023年1月13日

笠地蔵六 @kasajizorock


大好きな風景画家の古民家を模写して葉書の中に閉じ込める。たった一枚の年賀状を仕上げるためにきみは数日がかりだったね。その特別な一枚、宛名はもちろんあの先輩。あの人と同じ学び舎でいられるのもあと三か月。それまでにきみは想いを伝えたい。でもそれは今じゃない。先輩の受験が終わるまでは。


午後10:29 · 2023年1月14日

笠地蔵六 @kasajizorock


「生徒会OB仲間と初日の出観にいってくる」年越し蕎麦をかっこんだきみは紅白が終わるのも待たず家を出た。日の出なんて真っ赤な嘘。本当はあの年賀状を先輩の家のポストに直接届けるため。夜の道、スマホからイヤホンを伝って流れるのはクリープハイブ。今度会ったらなにをしようか。今度会ったら。


午後9:04 · 2023年1月15日

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ