表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/97

第九十話 処刑執行

 《王の邂逅》

「陛下、ミーフーソカが謁見を申し出て来ました」

「ミフーソカ? ……ああ、例の横領事件の、変わった被害者か。約束だからな、通せ」

 ミフーソカの財産を没収した憲兵はそれを売却して懐に入れていたのだ。その際に彼にアージスモは全額補償を申し出たが、多少過剰とはいえ『本』が有った事は事実と、受け取りを拒否したのだった。

 代わりに『必要な時に謁見出来る権利が欲しい』と彼が言ったので特別な許可証を渡していたのだった。


 ミフーソカを呼びに行くスチクノを見送りながらアージスモは先日の事を思い出していた。


〜〜〜

「陛下。どうして師匠にあんな茶番劇を演じさせているのですか」

「何の事だ。カウコーヨ殿は手筈が整い次第開放する」

 アージスモは心の中で苦い表情をした。

「手筈なんて必要ないじゃないですか。そもそも解放する必要すらないじゃないですか」

「何だと! あの方をずっとあのままにしておけというのか!」

 アージスモの茶番に、ウォザディーは息を吐きながら首を横に振った。


「おかしいと思ったのは30年ぶりに城に行った時です。師匠の魔力を確かに感じたのです。でも後から師匠はディーケの充填装置に繋がれていると聞いて、実際にその日は魔力を感じませんでした」

「偶然だろ。機械も常に魔力を吸い続けている訳ではなかろう」

 アージスモの眉間に僅かにシワが寄った。


「なぜ身の回りの世話が二日に一度なのですか。毎日だと師匠がぼろを出すからじゃないですか。師匠が二日以上もお酒を我慢出来るとは思いませんよ。世話には食事も含まれますから、酒臭ければおかしいですものね」

「言い逃れは無理か。民衆はギムテアの呪術を悪とした。しかし、カウコーヨ殿の魔法が似すぎていた。丁度、魔力をユニット化した魔法具が出来ていたから、名を改め技術製品のイメージを定着させカウコーヨ殿を隔離した。で、魔法という言葉は消滅した」

 ウォザディーは話を聞いて納得すると、悲し気な表情を浮かべた。


「なら、俺は今のままの方が陛下には良いのですね」

 そう言い残すとテントを出て行った。


「Kの部屋の事がバレてしまいましたね。あ、大丈夫ですよ。手は打っておきますから」

「……ああ。頼む」

 スチクノの言葉に、アージスモは何事かを決心した様な表情だった。


〜〜〜

「陛下、ウォザディー殿を助けて下さいませ。本来なら持ち出したくはありませんでしたが、これを」

「何だ? ……これは!」

 紙に目を通したアージスモは悪巧みを思いついたようで、ニヤリと笑った。


「よし、ミフーソカ殿。ウジャーノ侯爵家の再興を許す。領地は旧キエッツォの半分を与える」

「陛下! そういう事では御座いません。それの代わりに何卒ウォザディーをお救い下さい」

 ミフーソカは床に額を付けて懇願する。


「うるさい! そして、フリューニをウジャーノ公爵家に降嫁する。喜べこれで跡取り問題は解決したな」

「そ、そんな……」

 ミフーソカはアージスモの決定に異を唱えられる立場にない。なので、彼は必要な書類に記入をして正式にウジャーノ侯爵とならざるを得なかった。

 そして領地に向かうように命令されれば、大人しく従うしかなかった。


▽▼▽


 警備兵はウォザディーを殴り付けて黙らすと、断灯台にその頭を固定した。

「静まれ! 皆も聞いての通りだ! この後に及んでも反省の色一つ見せない極悪人だ、情けは無用なのだ!」

 民衆は大いに沸いた。

 しかしすぐに黙り込む事になる。黒いローブのフードを深く被った筋骨隆々の執行人が、大きな斧を携えて壇上に上がって来たのだ。その異様な雰囲気に皆、圧倒されていた。


「処刑せよ!」

『ダン!』

 アージスモの声の後に、斧がロープを切断して床を叩く音が響いた。

『ザシュッ』

 首が切断されるのはこんなにも軽い音なのかと皆が思った瞬間。

『ドォゴン!』

 ギロチンが地面に激突して地響きと轟音を響かせた。


「これにて、公開処刑を終了する」

 アージスモが転がったウォザディーの頭を睨み付けながら、高らかに宣言したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ