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第八十七話 ウォザディー投獄

 《内戦の終結》

 アージスモ率いるティディサア王国軍はキエッツォが実効支配していた土地に進軍しながら、各所に使者を送りヤーカンとギムテアが捕らえられた事を伝えて行った。

 アージスモがヤーカンの根城があるキエツニアの街に到着する頃には、キエッツォの全ての領主がティディサア王国に恭順を誓っていた。


「何やつ! 無礼であろう! 我が館から即刻立ち去れ!」

 館に押し入ったティディサア王国軍にニナヒカーが怒鳴り散らす。

「なっ、よせ。来るな! やめろ! ああっ、やめて! やめてぇ!」

 一向にいう事を聞かない軍勢の圧に押されたニナヒカーは、最後には縮こまって震えていた。


「よし、これでようやく決着が付いたな。ずいぶんと時間を掛けてしまったな」

 最上階の広間の豪奢な玉座に片足を乗せて呟いたアージスモは、思いっきり蹴り倒すと剣を抜いて頭上に掲げた。

「「「うぉぉぉぉぉぉ!」」」

 アージスモの姿を見た広間にいる兵達は勝鬨を上げる。更にその声を聞いた他の場所にいる兵達も続き、館は鬨の声で満たされた。


 ここにティディサア王国は内乱を治め27年ぶりに国内が統一されのだった。


▽▼▽


「よう! 遅かったな」

 恐る恐る入ってきた男達に、ウォザディーは声を掛けた。


「ソイベ・ササツィはどこだ!」

「さあね。ここにいない事だけは確かだが」

 ウォザディーは椅子に座りテーブルに足を上げたまま答えた。男達はその尊大な態度に顔を真っ赤にして怒っている。

「お前らは阿呆だな。あの女は無関係だぞ。まあ話は聞こう。座ってくれよ」

 ウォザディーが指を鳴らすと椅子が男達の後ろに現れた。椅子は前進して男達を無理矢理に座らせるとテーブルまで進んで止まった。


「さて俺の事は色々と調べは付いているのだろうが、一応な。俺はウォザディー魔法使いだ」

 突然椅子から立ったウォザディーは恭しく礼をして、名乗ったのだった。

「…………」

 あまりの出来事に男達は呆然としていた。


「どうした(だんま)りで。お前らが一番取締りたいものではないのか? 俺は()()使()()だぞ」

「ひぃっ! い、いつの間に」

 ウォザディーは指揮官らしい男の横に一瞬で移動していた。男は恐怖に震えたが、何とか気持ちを立て直した。

「き、貴様が先の大掛かりなまやかしで人心を乱した元凶だな。M規制法違反で拘束させて貰う」

「はいはい。ついて行けば良いのか?」

 ウォザディーは周りを憲兵達に取り囲まれた。彼は悪びれずに両手を挙げて降参の態度を見せた。


「よし、拘束しろ!」

 指揮官らしい男が命令すると、憲兵達がウォザディーを縄でぐるぐる巻きにした。結局歩くこともままならなくなったウォザディーは、四人の憲兵によって運び出される事となったのだった。


〜〜〜

「思ったよりも綺麗な所だな」

 ウォザディーの率直な感想だった。いわゆる牢屋に入れられたウォザディーだったが彼が抱いていたイメージでは、薄暗くジメジメしていてトイレだけが剥き出しである部屋だと思っていたのだ。

 ところが、彼が入れられたのはバス・トイレ付きの個室だった。


「おどきなさい!」

 荒げた声と共に王妹権限を行使してその部屋に入って来たのはフリューニだった。

「ああ、なんて事! ウォーディー、今すぐに出して差し上げますからね」

「フリューニ様。お気遣い有難うございます。でも、大丈夫ですから、心配無用です」

 ウォザディーはフリューニを巻き込むと色々と面倒ごとが増える気がしたので断った。

「でも……」

「心配無用です」

 ウォザディーが再度語気を強めて言うと、フリューニは少し俯いた。


「私は貴方に前科が付こうが一切気にしません事よ。事が済んだらキッチリと責任を取ってもらいますからね。それまでお待ちしておりますわ」

「ああ、その事ですね。今すぐにでも責任を果たしたい所ですが、そう仰って頂けるのは助かります。事が済んだら真っ先に伺わせて頂きます」

 しかしフリューニはすぐに顔を上げると、しっかりとウォザディーの目を見て結婚の念押しをした。しかし彼は傷を消す事だと思っていた。

 そして、しっかりと治療するためには最低でも服の上から患部に触れる必要がある。それをここで行うのはまずいと彼女が判断したのだと思ったのだった。


「はい! 楽しみにしておりますわ」

 しかしフリューニは勘違いしているので、頬を染めて顔を綻ばせ帰って行ったのだった。


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