第四話 魔法とディーケ
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《ディアトキア》
ティディサア王国の王都であり、人口や街の活気なども王国一である。王城の有る丘を取り囲むように放射状に広がっている城下町で、王城に近いエリアは塀で囲まれている貴族街となっている。その周りの平民街へは東西南北の門を通らないと行き来できない構造である。
平民街は内から商工区、住民区、解放区となっていてそれぞれ掘で区切られていて橋を渡れば自由に行き来できる。
解放区の北側の教会の隣にルニムネの暮らしているイコルニアツ孤児院がある。
▽▼▽
「ちょっと待ってくれ。一度確認させて貰ってもいいか」
「えっ、どうしたの?」
ウォザディーは考えた結果、ルニムネが他国の人間で何かがあってこの森に迷い込んだのではないかとの淡い希望を抱いた。確かに辺境の小国では魔法に触れずに生活する事も可能だろう。
「君は何処に住んでいるのかな」
「えっと、イコルニアツだよ」
ルニムネの言葉はウォザディーには耳馴染みのない名称だった。
「それは何処の国に有るのかな」
国名は流石に頭に入っているので、ウォザディーは知っている名が挙がる事を願っての質問だった。
「あっ、違うよ。そうじゃ無くて、ディアトキアのイコルニアツ孤児院だよ」
ルニムネは中々に聡い子のようで、ウォザディーの質問から勘違いに気付き訂正したのだった。
ただ、その事でウォザディーは益々混乱する事になった。
「そうなのか? では魔法を知らない事はないだろう。ディアトキアは魔法を応用した魔法具がそこかしこに溢れているのだから」
「魔法……具? 何ですかそれは?」
ハテナを浮かべるルニムネの瞳は真剣そのもので、担ぐために演技をしている様子も無い。
「魔法具は多岐に渡るが、明かりを点けたり火を起こしたりする魔法の力が込められた道具の事だ」
「あっ、なんだディーケ製品の事だね」
ルニムネの返答に今度はウォザディーがハテナを浮かべた。
「ディーケユニットを繋ぐ事で動く道具だよ。ウォザディーさんが言った通りに色々な物が有るよ」
ウォザディーの顔を見てディーケを聞いたことがないと悟ったルニムネは説明を続けた。
「どうやらそのディーケという物が俺の知っている魔法に類似している様だな。その道具に誰がディーケを込めるのだ?」
「さあ? ディーケユニットはソイベ先生が買って来てくれるのを使ってるから分からない」
魔法具とディーケ製品の明らかな差はそのディーケユニットという物に有るとウォザディーは考えた。
「ディーケユニットか。何かしらのエネルギーを蓄えた物らしいが果たしてそのエネルギーが魔法なのかどうか……まあ、実際に見てみない事には何も分からんな」
軽く考察をしたウォザディーだが、結局は実際に見てから答えを出そうと考えるのを止めたのだった。
「もうすぐ日も落ちる。明日の朝送り届けてやるから、今夜はここに泊まっていけ」
「良いの?」
ルニムネが遠慮がちにウォザディーに問い返した。
「はん、子供が一丁前に遠慮なんかしてんじゃねえよ。それに俺にとっては大した手間でも無いしな」
ウォザディーは言いながら食糧庫の在庫を思い浮かべてそれを使った料理を考える。
『パチン』
料理の決まったウォザディーは指を鳴らした。
「わっ!」
「さあ晩飯にするぞ」
テーブルには二人分のシチューとパンがいきなり姿を現したのだった。




