第三十五話 不用品処理にもお金は掛けません
《イコルニアツ孤児院メンバー》
ソイベ・ササツィ(経営責任者兼院長先生、●●歳、女)
ソーネア(12歳、女)
ルニムネ・ツナシュナ(11歳、女)
イチューソ(10歳、男)
アサホ(9歳、女)
チイコ(9歳、女)
ウナプカ(8歳、男)
シビシア(7歳、女)
ヒッショ(7歳、男)
デュアティナ(6歳、女)
アツネボ(6歳、女)
ウコビュオ(5歳、男)
ムナミミ(3歳、女)
ウォザディー・ミフオサ(居候、45歳、男)
※本人の希望により一部情報は非公開となりました。
▽▼▽
星祭りは孤児院に多額の売り上げを齎らした。カーテンや壁紙、更には子供達のベッドのマットレスを買い換えてもそれなりの金額が手元に残った程だ。
ソイベの心に出来たゆとりはそのまま子供達に伝わり、みんなの笑顔が柔らかくなったと近所でも評判だった。
「はいよ。ウォザディーに言われた通りに全部運び出したぜ」
「ああ、イチューソ。ご苦労さん。ウナプカにヒッショ、あとウコビュオもありがとな」
生意気盛りのイチューソも根はしっかり者なので、与えられた仕事はきちんとこなす。さらに男を纏めていて、それぞれに出来る事を指示して管理もバッチリだった。
「ソイベさん、本当に良いんだよな」
「ええ、どうせ燃やすか捨てるかしかなかったのですから」
平民街のゴミは基本的には有料の回収業者に頼む事になる。ただ、燃えるものに関しては薪代わりに火にくべられるのが一般的である。管理に関わる事なので院長であるソイベに最終確認をするのであった。
「よーし! みんな離れていろ!」
ウォザディーの声に子供達は裏庭から離れて行ったが、今から何が起こるのか興味津々で見つめていた。
「ソイベさんはそこで平気か?」
「ええ、大丈夫」
ウォザディーの隣でソイベは緊張気味なのか声は少し上ずっていた。
『パチン』
『ボォォン!』
「キャャャャャー!」
「「「うぉぉぉ! すっごーーーい!」」」
ウォザディーの魔法の炎は屋根を越える程の火柱を上げて燃え盛ったが、次の瞬間にはマットレスもカーテンも消し炭に変えて炎自体も跡形もなく消えていた。
子供達は大興奮ではしゃいでいたが、ソイベだけはへたり込み手で顔を覆い泣きそうになっていた。
「ソイベさん、平気か?」
「えっええ、はぁはぁ……大丈夫……」
相当驚いたようで、ソイベは荒い息で答えるのが精一杯だった。
「加減は上手くやったつもりなんだがな。ほらっ」
「あっ、今は無理です。……腰が……抜けました」
ウォザディーは地面に座り込んでいるソイベを引き起こそうと手を差し出したが徒労に終わった。
「仕方ないな。よいしょっと」
「!」
「「「キャー!」」」
そのまま放置する訳にもいかず、ウォザディーはソイベを横抱きに抱え上げた。突然の事に驚いたソイベは声を詰まらせて、反射的にウォザディーの顔を見てしまった。そして、そのあまりの近さに湯気が出そうな程顔を真っ赤にして俯いたのだった。女の子達は黄色い悲鳴を上げて目を輝かせていた。
「ねえ、ルニムネ! 私生で初めて見ましたわ!」
「私だってそうよ! 何だか素敵ね。貴女達はある?」
「「いいえ、ありませんわ」」
「ねえ、あたちしってるよ。あれ、ひめだっこってゆうのよ」
「「「キャー!」」」
感動したソーネアはルニムネと気持ちを分かち合う。アサホとチイコも同調する。ムナミミは得意顔で胸を張っている。シビシアとデュアティナとアツネボは終始黄色い声を上げていた。
「……姫抱っこ……! わっわっわっ!」
「あっこら! 暴れるな! 危ないだろ!」
ソイベは子供達の声で自分の置かれた状況を理解した。それと同時に悶えて足をバタバタしてしまった。
「もう! いいから、大人しくしていろ!」
「……うぅー……はい」
ソイベは顔を真っ赤にして俯いた。冷静になると恥ずかしさが込み上げて、返事をするのが精一杯だった。




