第三十四話 交差する想い
《子供達の思い》
「これで、二人の仲も少しは進展するかしら」
「うーん、どうかなぁ。ウォザディーさんちょっと鈍い所があるからなぁ」
「「でも二人の共同作業は、仲を進展させるって書いてありましたわ」」
「ソーネーちゃん、わたがしたべたい!」
「もう、ムナミミったら。あっ、でも私も食べたいなぁ」
ソーネアは二人の仲に一番熱心だ。ルニムネはウォザディーを子供達の中では一番知っている為にソーネアの作戦に懐疑的だった。ソーネアに入れ知恵したアサホとチイコの双子は本の知識を信じて疑わなかった。最年少のムナミミは常にマイペースであり、デュアティナは諭しつつも乗っかる形だった。
「これだから女達は……。俺達は遊んで来る!」
「はいはい、じゃあこれね。無駄遣いはしないように! いいわね」
イチューソは男達を従えてソーネアに手を差し出した。ソーネアは仕方が無いと小銀貨を一枚、代表してイチューソに渡した。
「でも、キーベさんはどうなっちゃうの?」
「「「…………」」」
シビシアはキーベに一番懐いているのだ。その質問には皆無言になった。
▽▼▽
「あらあら、今は二人だけの時間をお邪魔しちゃったかしら。娘の次は貴方達の番なのかしら、楽しみねぇ〜」
「なっ、なっ!」
「子供達は良く手伝いをしたからな。少しは遊ばせてやらないとな。私たちの番とは?」
パン屋の女将さんが孤児院の出店を覗きに来てウォザディーとソイベが二人だけなのを揶揄った。ソイベはまんまと慌ててしまったが、ウォザディーは素で真面目に受け答えをした。
「あんらぁ〜、ソイベちゃんも相手が鈍ちんだと苦労するわねぇ〜。じゃあそのジュースを一つ貰おうかしら」
「もう! ピナコマさんたらっ! ……お買い上げアリガトウゴザイマス」
ピナコマは終始揶揄いながらも売り上げに貢献してくれた。対応したソイベは少し頬を膨らませていたが、腹を立てている訳ではなさそうだった。
「これは……照れ隠し? ってやつかな」
「っんもう!」
「あらあら、お熱いわね。じゃあまたね」
ボソッとウォザディーは感じたままを口にしていた。ソイベは困ったように目を泳がせる位しか出来なかった。そんな二人を楽しそうに眺めながらピナコマはジュースを受け取ると去って行った。
「そっソイベ! あのな……」
「あら、キーベさんも来てくれたの? 何にする」
キーベは俯いたまま言葉に詰まっていた。
「あのな、これから一緒に……ってあれ? 子供達は!」
「ああ、子供達と一緒に回ってくれるつもりだったの?」
キーベは決心して続きの言葉を紡ごうと顔を上げた。そこにはソイベとウォザディーの二人しか居らず、言葉は疑問にすり変わってしまった。
ソイベは言葉尻だけを取って勘違いしたのだった。
「もし、祭りを見て来たいなら俺が店番をしているから行ってこればいい」
「そんな事はさせられません。それにウォザディーさんこそ久しぶりなのですから見て回りたいのなら構いませんよ……私は……その……一緒に店番をして貰えると……うっ……嬉しいですけど……」
気を使ったウォザディーの言葉はソイベに却下された。
「あまり、祭り自体には興味が無いしな。それにソイベさん一人では確かに大変そうだな。力を期待されたら貸さない訳には行かないな」
「えっあっうん、そうね。いっ、居てくれると助かります」
「…………」
ウォザディーは普通の会話として受け取った。ソイベは残念そうな顔で普通の会話として続けた。そんな彼女の姿を見てキーベは一人項垂れていた。
「ああん、もう! ウォザディーさんは何をやってるのよ!」
「ウォザディーさんはいつもあんな感じだよ。鋭いのか鈍いのか分からないのよ」
「「それはソイベ先生も一緒よ」」
「キーベさんかわいそう」
近くで見ていた子供達の感想だった。




