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第三十三話 そして星祭へ

 《星祭り》

 ティディサア王国で昔から行われて来た四大祭りの一つである。夏の訪れを喜び五穀豊穣を願う為のお祭りだ。


 王都ディアトキアでは、午前中に迷いの森(ルイシネ樹海)の木の枝に願い事を書いた紙を折り畳んで結び付ける風習があり、秋口の風祭りの時まで枝に残っていると願いが叶うと言い伝えられている。

 夕方からは商業区を中心に出店や店頭販売で賑わう。住民区や解放区でも家の前に出店を構え商売する者も少なくない。

 街を上げて盛り上がり夜遅くまで喧騒が途切れる事はないのである。


▽▼▽


 子供達も含めた話し合いで決まったのは、じゃがバターと野菜スティックと木彫りの小物だった。


 じゃがバターは基本的にソイベに任せ、子供達は運搬をする事にした。野菜スティックは胡瓜や大根や人参の収穫を包丁をまだ使えない子供達の仕事にして、野菜を切る作業は包丁が上手く使えるルニムネとソーネアさらにアサホとチイコが名乗りを上げた。

 木彫りの小物は子供達全員で予め作っておいて当日は販売するだけにした。今日もせっせと子供達は木を加工していた。


「ウォーザしゃんみて! うしゃぎしゃん!」

「おお、可愛く出来たな。よし、接着してしまおう」

『パチン』

 ムナミミが木の破片を組み合わせてウサギと言い張った物体にウォザディーは魔法を掛けて崩れないようにした。ムナミミは恐る恐る木組のウサギをテーブルに置いた。

「わあ! くっついちゃ!」

 壊れない事に満足したのか、また別の物を作りにみんなの所へ使わない木片を集めに戻って行った。


「みんな楽しそうだわ。ウォザディーさんのお陰ですね」

「いやいや、みんなで何をやるかは決めたんだ。俺は関係無いよ。……そうだ、ちょっと出掛けて来るから後は宜しく」

 ソイベに必要以上に見つめられて戸惑ったウォザディーはその場を逃げ出した。


 というか、ウォザディーは一つ更なる売り物を考えていた。その材料が調達出来る場所を森へ探しに行ったのだった。


〜〜〜

 そして星祭当日になった。


「おいしいですよぉ!」

「かってくだしゃい!」

 子供達の大きな声が響いていた。

 一生懸命に働く子供達の姿に絆された人達は、『子供達が丹精込めて育てた』とか『子供達が精一杯頑張って作った』という枕詞が付いている商品に心が揺れる。


「かってほしいなぁ」

 とどめを刺すのは子供達の視線だ。期待と不安に満ちた瞳で見上げて来る無垢な瞳に財布の紐も緩んでしまうのだ。


「「「ありがとうございます!」」」

 そして子供達の元気な声に癒されて、買って良かったと思って貰えるのだった。


 思ったよりも盛況であっという間に在庫も僅かになって来た。そんな折、ルニムネとソーネアが何かを話し合っているのにウォザディーは気が付いた。

「二人でどうしたんだ」

「ねえ、ウォザディーさん。それにソイベ先生も聞いて。みんなで頑張ったから少しだけお祭りを見て来てもいい?」

「私たちがちゃんと下の子達の面倒見るから、お願い」

「しょうがないわね。でもあまり南の方へは行ってはダメよ」

 子供達のお願いにソイベは注意を与えつつも、売り上げから皆の分のお小遣いとして数枚の小銀貨を最年長のソーネアに渡した。


「ありがとうソイベ先生!それじゃあ、暫く()()()()でがんばってね」

 ルニムネはそういうと子供達の輪に加わった。その後、年長者が下の子達の手を取って祭りの喧騒へと紛れ込んで行った。

「ウォザディーさん、本当にありがとうございます」

「いやいや、普段世話になっている礼だから気にするな」

 この日とんでもなく売れ、利益を上げたのは『森の果実のジュース』だった。ウォザディーが密かに企画した生搾りジュースのお陰で子供達に十分なお小遣いを渡す事が出来たのだった。

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