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第三十二話 出店を企画しました

 《お尋ね者》

「貴方、一体今まで何をしていたのですか! もう一ヶ月近く経ちますわよね! なのに何故未だに彼の消息が掴めていないのですか!」

「はい、申し訳御座いません。しかしながら彼かもしれない程度の情報で御座います。しかも宿屋に立ち寄った形跡も御座いませんので、此方としては探しようがございません」

 王妹のフリュー二は苛立ちを王であるアージスモの側近であり幼馴染みのスチクノにぶつけていた。


「もう! それではどうしようもないじゃない!」

「ええ、仮に本当に本人だとしてもディアトキアは王都です。国一番の人口を誇る街の中から探し出すとなると、暫く時間は掛かってしまいます」

 スチクノは幼い頃からの付き合いでフリュー二の扱いは慣れたものだった。

「うう……。とにかく探し出して頂戴。あの人には()()のお礼をさせて貰わないと溜飲が下がりませんわ」

「分かりました。最善を尽くします」

 フリューニは左の脇腹を押さえながら言った。スチクノは知っていた、彼女の左肩から脇腹に掛けて大きな傷痕がある事を。

 その傷の原因に例の男が関わっている事も。


▽▼▽


 ウォザディーが孤児院に住み込んで一ヶ月が経過していた。ソイベも院長室よりも畑仕事をしている時間の方が多い程で、年長者の子供達に教える余裕が出来る位に慣れた様だった。

 他の子供達も水まき等、出来る事を手伝ってくれている。


「ウォザディーさんのお陰で、色々物が増えました」

「まあな。ただ中々お金は稼げないがな」

 ウォザディーは積極的に街の人達の手伝いをしていた。周りの人達は生活にゆとりが有る訳ではないので、寄付金が集まる事はなかったが現物支給してくれる人は多かった。

 魚屋を手伝えば捌いた魚を帰りに持たされたり、大工を手伝えば後日家具を作って届けてくれたりなどしている。孤児院は相変わらずの経済状況ながらも、食べる物に困る事はなくなったし椅子やテーブルやタンスなど家具も増えていった。貰ったペンキで外壁も少しずつ塗り直していて、未完成ながら大分見窄らしさは感じなくなって来た。


「そういえば、来週は星祭りですね。良かったら……あの……その……えっと、一緒に……」

「それだ!」

 ソイベの言葉を聞いてウォザディーは閃いた。

「星祭で出店をしよう! 子供達にも色々と経験させてやれるし、お金も稼げる。一石二鳥だ」

「もう……」

意を決しって言おうとしたソイベは、ウォザディーに話の腰を折られて不満顔だった。

「あれ、嫌か? いい案だと思ったんだけどな」

「別に嫌じゃありません! いい案デスネ」

 ソイベの答えに違和感を感じながらも、ウォザディーにはそれが何か分からなかったので思い過ごしだろうと思った。


「で、何を売るのですか?」

「そうだなぁ。野菜は売れそうだな。子供達が収穫したと銘打って出せば良い」

 ウォザディーは子供達をメインにする様に考えていた。売り子は勿論だが、なるべく多くの段階で子供達を絡めたいのだ。

「野菜だと、直ぐに思い付くのは蒸し芋ですね。トマトならそのまま出せそうですよ。他には……」

「子供達にも聞いてみよう。違った視点の意見が出るかもしれないからな」

 ウォザディーの提案にソイベは早速子供達を集める事にした。


「なーに? せんせい、おやつ?」

「「お話が有るって言ってたじゃない」」

 3歳になったばかりのムナミミが食堂に集められた為に勘違いを口にするとアサホとチイコが双子らしい息の揃った返しをした。

「ムナミミ、残念だけどおやつの時間まではまだだから後でね」

「はーい」

 聞き分けの良いムナミミは特に反発する事もなく話を聞く態勢になった。


「みんな聞いて、星祭で出店をする事にしました。ですので売り物を一緒に考えたいと思います。何かあるかな?」

 子供達は活発に意見を出してくれた。結局、おやつを挟んで夕食前まで話し合いは続いたのだった。

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