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第二十一話 解決

 《噂》

主婦Aさん(好奇心大):「孤児院に新たな働き手が来たらしいわよ」

主婦Bさん(噂好き):「えー本当に!ソイベちゃん一人で大変そうだったものね」


〜〜〜

主婦Bさん(噂好き):「孤児院に住み込みで働き手が来たんだって!」

八百屋さん(店番中):「本当かそんな奇特な人いるのか?」

主婦Bさん(噂好き):「それが本当なのAさんが孤児院の子と一緒に楽しそうに孤児院へ帰って行く人を見たって」


〜〜〜

八百屋さん(配達中):「なあ孤児院に手伝いの男が転がり込んで来たらしいぜ」

酒場店員さん(女):「それはよかったわ。……けど、キーべさんが可哀想ね」


〜〜〜

酒場店員さん(接客中):「ねえ聞いた? 孤児院に手伝いの男が住み始めたんだって」

警備隊Cさん(常連):「キーベのやつがもたもたしてやがるから。詳しい関係を聞けないか?」

酒場店員さん(ボトル獲得):「分かったわ。今度ソイベの所に行って話を聞いてみるわ。だ・か・ら♡」


 こうして方々に広がって行ったのであった。


▽▼▽


「じゃあ、あんたの言い分通りならこれで借金はチャラだな」

 ウォザディーはテーブルの上に金貨を2枚置いた。


「これで、彼女を連れて帰っても文句は無いだろう? さて、ここからは相談だ」

「待て、ソイベがこんな目に合わされているのに納得しろというのか!」

「キーベさん、今はいいから引っ込んでいましょう」

 ソイベはキーベを後ろに下がるように引っ張った。


「ほう、それで相談とは?」

「あんたらにも面子というものがあるんだろ。はいそうですかで引き下がれないだろう」

 ウォザディーは更に1枚金貨を机の上に出した。


「なるほど、それで大人しく連れて帰らせろと」

「まあそういう事だな」

 更に3枚金貨を追加するとウォザディーはウェリジュアの目をじっと見つめた。


「なっ、そ、それであの土地を諦めろという事ですか」

「中々分かっているな」

 ウォザディーは更に3枚の金貨を今までの金貨とは離した位置において手を乗せたままにした。


「うっ、そ、それ……は?」

「流石に伝わらなかったか。金輪際孤児院に手を出さないと誓うなら、これはお前の取り分だ」

 借金の分は分け前はあると言っても組の上がりだし、土地買収に失敗した面子を保つためにお詫びに差し出す金も組に入れなければいけない。現状ではウェリジュアの手元に入るお金は小金貨1・2枚だ。

 ここまで苦労して割に合わない。が、金貨3枚が更に手に入るとなると彼にも悪い話では無い。上手くボスを誘導すれば孤児院に関わらない事など容易いのだから。


「分かった。誓って金輪際手出しはしない。これでいいか」

「ああ、素直でよろしい。約束を破ったらどうなるかは分かるだろ」

 ウォザディーは身動きの取れないウェリジュアに一歩一歩近付き首に金属を押し当てた。

「ああ、ああ……勿論だとも」

「そう願っているよ」

 ウォザディーは首筋に当てていた金貨をウェリジュアの口に咥えさせた。

「素直に聞いた褒美だ取っておけ」


 その後、束縛の魔法を解いて借用書を受け取って、堂々と正面玄関から退出して行ったウォザディー達だった。


「ソイベ、暫くは俺が手伝いに行ってやるから心配するな」

「何の?」

 ソイベの体を慮ったキーベの言葉にソイベは疑問符を付けた。

「その手じゃ家事は辛いだろうって、えっ!」

 そういえばさっきからソイベは普通だ。痛みを堪えている様子も無かった。それに先程キーベを引っ張っていたりもした。彼女の手を見た彼は驚いた。


「ソイベさんは最初に治療しましたよ」

「お前! それを先に言え!」

「ふふふ」

 そこにはいつも通りの声が響いていた。


 それからは噂が広まっていた事もあり、ウォザディーは孤児院に居候する事となった。キーベがその日以降、自主トレの量を倍に増やした事も街で面白おかしく噂になっていた。


「キーベさんは可哀想ね」

 子供ながらに母親代わりのソイベへの熱い想いを思い、シビシアは同情していたのだった。

お読み頂きありがとうございます。

ここまでで第一章は終わりとなります。

引き続き第二章も楽しんで頂ければ幸いです。

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