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第十六話 孤児院に招かれました

 《魔法具とディーケ製品》

 魔法具とは魔法師という魔法は使えないが魔法の学問を修めた者達によって開発・製造されていた。それらは大気中の魔力を動力にした道具で、30年程前までは一般的に使われていた。


 ディーケ製品とは、元々魔法具の欠点である一所で多くを同時使用した場合の空間魔力の枯渇問題を解決する為に、研究開発されていた魔力ユニットという外付けのエネルギーパックを動力にした物である。


 悪魔と魔女の大乱後に『魔法』という名称が排除された為に魔力はディーケと改められ魔法具はディーケ製品と呼ばれる様になった。


▽▼▽


 ウォザディーは孤児院へ一泊して行く事になった。院長であるソイベがお礼とお詫びにと勧めて、さらにルニムネの波状攻撃の前に陥落した彼は好意に甘える事にした。


「こんな物で申し訳ないのですが」

 食事の時間になって子供達と一緒に食堂の席に着いたウォザディーの目の前にソイベが自ら配膳をした。

 子供達はウォザディーに興味津々といった様子だが大人しく席に着いている所を見る限り、貧しいなりにしっかりと躾や教育は行われているようだ。


「それではみなさん」

「「「いただきます!」」」

 年長の子供達も手伝って配膳が終わると食事の時間が始まった。大人数だけあって騒がしく、長年一人きりに慣れていたウォザディーには新鮮な光景だった。


 スープは丁寧に味付けされていて、具材が少ない以外に欠点はなかった。しかし隣のソイベの皿を覗くとほぼ具無しだったので、ウォザディーの分はこれでも多めにしてくれているみたいだった。


 食後に子供達と遊びながらウォザディーは皆の体型などを記憶していった。


「ほら、これを持って行け」

「えっ、えっ?」

 最年長で長女然としているソーネアが年少の子供達を引き連れてお風呂に行こうとしたので、ウォザディーは鞄から取り出す風を装って服を作って渡した。


「ウォザディーさん、それは?」

「まあ、なんて言うか泊めて貰う駄賃みたいな物だ。余り物を仕立て直しただけの物だからな。気にするな」

「えっ、これくれるの!」

 皆は大喜びで、風呂に入る前の子供達にもせがまれ次々と作って渡していくのであった。


 ルニムネは風呂から上がるとウォザディーの所にやって来た。

「ねえ、ウォザディーさん、またアレやって!」

「参ったな。キーベから釘を刺されたしな。……まあ良いか」

 ウォザディーは魔力を調整してルニムネの髪の毛の周りに温風の渦を創り出して、手で髪をわしゃわしゃして乾かした。

 その後ウォザディーの前に行列が出来たのは言うまでも無い。


〜〜〜

 ウォザディーが風呂から上がるとソイベは丁度子供達を寝かしつけた所だった。

「何だか、子供達が色々と無理言って済みません。はしゃいでいたから寝かしつけるのが楽でしたよ。有難う御座います」

「ああ、こんな事でも役に立ったなら良かったよ」

 ソイベは一瞬何か言いたげな表情をしたが、直ぐに元の笑顔に戻った。


「それじゃあ、客間にご案内しますね」

「ああ、宜しく」

 通された客間は古く草臥(くたび)れていたが、綺麗に清掃されていた。

「何だか気を使わせたみたいで悪いな」

「いえ、そんな事ないですよ」

 そうは言っても見るからに丁寧に掃除した様子が窺える。


「それでは、お休みなさい」

「ああ、お休み」

 なんやかんやでウォザディーも疲れていたのだう。横になると瞬く間に眠りに落ちた。


〜〜〜

「……さん、ウォザディーさん」

「んんっ、……何だ……どうかしっ!」

 突如起こされたウォザディーは寝ぼけながら何とか上半身を起こした。そして声のする方に視線を向けた瞬間、あまりの光景に固まってしまった。

 そこには逆光で輪郭が輝くように見えるソイベが、風呂上がりの一糸纏わぬ姿で立っていたのだった。

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