表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
82/103

(1月17日付けの手紙)

久しぶりにエヴァのお母さんから手紙が届きます。

お母さん



 あの手紙は、酷いと思います。



『エヴァへ  人を呪わば穴二つ  お母さんより』


って、あんまりな手紙です。




 そりゃあ、ダイアナさまのことは嫌いです。


 私を目の敵にして、上から目線で馬鹿にするんですから。




 でも、不幸になれと呪うなんて、そんな恐ろしいことしません。



 確かに、彼女が不幸になったら、喜ぶかもしれませんが、積極的に呪うほど落ちぶれていないつもりです。





 ただ、あの手紙が来たタイミングは最悪でした。



 昨日、私は、晩餐の後で、スレイ翁に来てもらって、さあ、これから森の小屋へ行こうかって手を取ろうとしたんです。



 まさに、その瞬間でした。


 転移の魔法陣が光って、お母さんからの手紙(?)が現れたんです。


 でも、封筒にも入れず、明らかに、そこらに置いてあったメモ用紙に書いたあれだけの手紙は、果たして『手紙』と呼べるんでしょうか?



 スレイ翁が、あれを見て、森の小屋に転移するのも忘れて笑い出したんです。


 私も、恥ずかしいやら可笑しいやらで、一緒に笑ってしまいました。




 そういう意味では、役に立ったと言えます。




 ただ、このとき、とんでもないことが起きたんです。


『続とんでもないシリーズ・パート4』です。



 

 手紙のタイミングが、あんまり悪すぎたのが可笑しくって、スレイ翁と二人で笑ってたら、突然ドアが開いたんです。


 

 ギョッとして振り返ると、茫然としたパメラが立ってました。





 しまった。翁を見られた。


 



 私は、無茶苦茶動揺しました。



 スレイ翁は、さすがでした。平然と取り繕ったんです。



 でも、私は、寮の私室に人外の存在を招き入れたことが他人にバレたってことが衝撃的で、頭が真っ白になってしまったんです。



 でも、相手がパメラで良かったです。

 パメラは、やっぱりパメラで、友達でした。


 彼女は、おずおずと謝ったんです。


「ごめん、エヴァ。声かけたんだけど、笑い声が聞こえたから、開けて良いんだと思って」


 そこまで謝られると、怒りにくくなるもので、


「ううん、気付かなかった私も悪かったから……」


って言うしかなくて、


「で、そこにいるのは、何?」

って訊かれても、人外のスレイ翁をどう説明して良いものか分かんなくて、


「森で出会った、人外の尊い方なの」


「名前は?」


 まさか、スレイさまって言うわけにもいかないので、思わず、


「スーさんって言うの」


って、答えたら、当のスレイ翁が腹を抱えて笑ったんです。



「そうじゃ、ワシのことは『スー』と呼んでくれ」


って、自分から言うか?って、焦ってたら、



「でもね、エヴァ、寮って男子禁制だよ。いくら小さくても、男はヤバイんじゃない?」


ですって。

 



 パメラ、あんたが気にするのは、そこ?


 パメラは、昔から普通の人が気にすることは気にせず、気にしないことを気にするでした。

 

 ここでも、それが出たんです。




「大丈夫、スーさんは、人外だから、男じゃないの」


って、自信満々に答えておきました。



 だって、変に委縮しても、不自然に思われるだけですから。


 むしろ、人外は禁制じゃないんだってアピールする方が良いと思ったんです。



 


 このことをジークが知ったら、怒り心頭でしょう。


 彼は、スレイ翁に会いたいのに雪が積もってる間は山へ行けないって文句を言ってたんです。


 何不自由ない公爵さまが、我慢を強いられてるんです。


 

 それなのに、こんな出張サービスがあるなんて、どうして教えてくれなかったんだって、真っ赤な顔して怒るでしょう。




「でも、スーさんは、どうやってあなたの部屋に入ったの?」


「スーさんは、魔力の塊のような存在なの。

 だから、本体は森の中にいても、転移の魔法陣を使って分身を送ってくれてるの」


本当ほんとエヴァの魔法陣って、すごいね。

 あなたにもらったから、私も手紙のやり取りに使ってるけど、無茶苦茶便利だし」



 パメラなら、味方になってくれるような気がしました。だから、頼んだんです。


「悪いけど、他のみんなに内緒にしといてくんない?

 今まで、私とスーさんだけの秘密だったの」


「良いよ。

 でもね、エヴァ。どうせなら、もっと若い男の子にしたら良いのに」



 あんた、何考えてるのよ!って言わなかったのは、ここでパメラを怒らせちゃいけないって思ったからです。



 


 でも、正直、パメラにバレたとき、心臓が止まるかと思ったので、何とかスルーしてもらえそうで、力が抜けました。

 


 翁には、こうなることが分かってたみたいです。


 パメラが私の仲の良い友達だと知って、握手を求めたんです。



「エヴァが、世話になっとるようじゃの。これからも、よろしく頼む」って。




 何でそんなことするのかなって思ってたんですが、パメラが部屋を出た後で、今度こそ邪魔が入らないようにって森の小屋へ転移してから教えてくれました。



 翁は、パメラと私が手を繋ぐと魔力保有量が跳ね上がるのは、何故かって考えていて、私の魔力保有量を何らかの力(多分、お父さんの力だと思います)が抑えているのに、パメラと手を繋ぐと、その抑制力が解除されるんじゃないかって思ってたそうです。



 それで、小屋に飛んでから説明してくれたんですが、パメラには、珍しい魔法の無効化の力があって、無意識にそれを使ってるようだってことでした。



 パメラって、すごい魔法使いだったみたいです。



 どんな力があろうと、なかろうと、友達には変わりがないんですが、珍しい力のせいで不幸にならないよう、気にかけていこうと思います。



 お母さん、私、他人ひとを呪ってばかりじゃないでしょ?

 



                    1月17日


             他人ひとの幸せを祈る エヴァ




エヴァは、パメラの幸せを祈ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ