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(11月30日付けの手紙)

エリザベートさまとケント会長が急接近します。

お母さん


 

 エリザベートさまが生徒会役員の皆さまに頼まれて、ケント会長のお世話をするようになったという噂は、あっという間に広まりました。



 いやあ、さすが、エリザベートさまです。彼女のインパクトの大きいこと大きいこと。



 私が生徒会雑用係になったときより、ズッと伝搬力が高いんです。


 多分、学園中に広まるのに20分もかからなかったんじゃないかと思います。




 おお、怖っ。




 面白いことに、エリザベートさまの腰巾着の三人組は、ケント会長のお世話をするエリザベートさまに付いて行ってるんです。



 ケント会長に会うことは、エリザベートさまにとってはデートみたいなものなのに、あの人たちは何を考えているんでしょう?



 もしかして、エリザベートさまにくっついていて、隙を見て彼女を出し抜いてケント会長の心を掴もうとでも思ってるんでしょうか?




 そんな、馬鹿な……。



 って、思ってたんですが、この前、男爵令嬢ズに訊いたら、そういう高等テクニックがあるんですって。


 小説好きのマーサが、前に読んだ本にそんな話があったと言ってました。


 通称、コバンザメ作戦って言うそうです。



 エリザベートさまにしてみれば、友達だと、味方だと、思ってた人に裏切られる訳で、油断も隙もない人たちです。


 あの人たちは、本当(ホント)、こすっからいんですから。




 ところで、男爵令嬢ズと言えば、こっちも面白い話があるんです。


 彼女たちは、前期で、ケント会長の追っかけをしてたので、エリザベートさまが生徒会役員に頼まれてケント会長のお世話をするって聞いたら、しかも、その言い出しっぺが私だと知ったら、怒るかもしれないと心配してたんです。


 で、結論から言うと、私の心配は、杞憂に終わりました。


 


 ホッ。




 何故かと言うと、彼女たちは、文化祭の舞踏会で、それぞれ意中の人を見つけて、お付き合いを始めていたんです。


 私が知ったのは、ごく最近だったのですが、クラスでは、結構知られていたようです。


 

 あんなに生徒会役員に固執してたのに。


 パメラたちに、


「生徒会役員じゃないけど、良いの?」

って訊いたら、


「そもそも、最初から、夢は大きく、現実は手堅くがモットーなんだ」

って、テレサが教えてくれたんですが、どうやら、男爵令嬢ズ全員の総意のようでした。



 な~んだ。って、思ったのは、内緒です。




 ところで、エリザベートさまがケント会長に急接近したことで、慌てたのはジークです。


 ジークは、以前、ケント会長のことが好きなの?って訊いたときは、あっけらかんとしてたんです。


 マーサが貸してくれる小説に同性同士のものもありましたし、一方のケント会長がジークにご執心なんです。

 ありえるかも……って、マーサと二人でドキドキして見てたのに、一刀両断したんです。


「私たちは男同士だぞ。

 恋人なんかじゃない。ただの幼馴染だ」って。



 それなのに、ケント会長をエリザベートさまに取られそうになったとたん、おかしくなったんです。


 やたらケント会長のことを気にするようになって、土曜に私と山へ行くときも、心ここにあらずって感じなんです。


 ケント会長を傷つけてまで勝ち取った森へ行く権利なのに、手に入れてしまえば、色あせて見えるのでしょうか?



 全く、何を考えているか、分からない公爵さまです。


                      11月30日


               恋愛模様の傍観者の エヴァ




ジークは、どうなってるんでしょう。

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