(10月20日付けの手紙)と(10月25日付け手紙)
転移魔法の魔法陣で手紙を送るようになってから、短い手紙が増えてきました。
今回も2つ続けてアップします。
お母さん
想像通りの展開になりました。
針のむしろとは、このことです。
男爵令嬢ズを除く令嬢たちは、ことごとく敵に回りました。
彼女たちにとっては、私がジークと食事に同席することさえ許せないんです。
それ以上に、ジークに懐かれているのが憎くて仕方がないんです。
でも、一体私が何をしたと言うんでしょう?
「今度スレイ翁に会うときは、連れて行く」って約束したけど、それだけです。
ジークやケント会長に好かれたいと思ったことは一度もありません。
それなのに、ジークが寄って来て、ケント会長が付いて来るんです。
ジークが寄って来るのは、スレイ翁と会いたいからで、私が好きな訳じゃありません。
ただ、必ずケント会長もくっついて来るのです。
その結果、皆さまに苦々しく思われてしまうんです。
ジークは、事態を重く見て、私を助けようとしてくれるんですが、かえって、ご令嬢たちの敵意をあおるだけです。
ケント会長は、ジークのように大っぴらに助けようとしません。
庇えば庇うほど、反感が大きくなると知っているからです。
いずれにしろ、男爵令嬢ズの支援も空しく、私は孤立しつつあります。
この前の休みの日に、ジークと一緒にスレイ翁に会いに行きました。
まったりした時間を持つことができて、少し、元気が出ました。
10月20日
孤独な エヴァ
お母さん
休みの日、森へ出かけようとすると、ジークが付いて来るんです。
連れて行くって約束したので仕方ないんですが、邪魔です。本当に、邪魔です。(大事なことなので、二度書きました)
何で邪魔かというと、ジークが来ると、ケント会長が付いて来ようとするんです。
ケント会長も、文化祭の準備で忙しいでしょうに、わざわざ付いて来なくても良いのに。
そう思ってたら、ジークがケント会長に、「エヴァがいるから、来なくて良い」って言ったみたいです。
以前、教室で男女が二人きりでいて非難されたって書きましたが、山は閉鎖空間じゃありませんが、二人きりになるのは良くないことのようです。
ケント会長が、そう言って、「第三者として同行する」と言い張るんです。
そういう理屈は、確かに、存在するようです。
そして、そんな風に考える人は、私がジークに色目を使うために一緒に山へ行っていると考えるみたいです。
実際、男子の何人かが私に言ったんです。
「お前、ジークフリートさまの愛人狙ってるのか?
止めとけ、分不相応だ。
愛人っても、相手は公爵だ。相応の身分の女がなるもんだ」って。
どこをどう突ついたら、私がジークの愛人目指してることになるんでしょう?
ジークは、友人だけど、恋愛対象じゃありません。
じゃあ誰が良いの?って訊かれても困るんだけど、少なくとも、ジークもケント会長も友達です。
ジークは、ケント会長が山へ来るのを嫌がります。
ケント会長がいると、ツノウサギが現れないからです。
どうやら、ツノウサギは、ケント会長に会いたくないみたいなんです。
夏休みに、私が村へ帰ってからも、ジークは山へ行ったそうです。でも、ツノウサギが現れなかったので、スレイ翁に会えなかったんですって。
ジークは、その原因を、ケント会長が付いて来たからだ、と言ってます。
私と二人のときは、簡単に出て来たので、きっと、そうに違いないと確信してるんです。
ケント会長にすれば、濡れ衣なのかもしれません。
でも、ジークの存在は変わらないのに、同行する人間が私かケント会長かで、ツノウサギの出現率が変わるんです。これは、事実です。
もしかして、角までもらった私って、ツノウサギに好かれているのかもしれません。
それって、素敵だと思いませんか?
今度、ニンジン持ってってあげようと思います。
10月25日
ツノウサギに媚びを売る エヴァ
PS ツノウサギって、普通のウサギみたいに人参が好きなんでしょうか?
急に、心配になって来ました。
ジークやケント会長と仲良くすると、女子に嫌われるんです。




