(10月1日付の手紙)
短いですが、エリザベートさまとのお茶会の後日談です。
お母さん
昨日は、エリザベートさまのお茶会のせいで、午後が潰れてしまいました。
私としては、夏休み最後の日に、スレイ翁に会いに行こうと思ってたんですが、行けなくて残念です。
エリザベートさまたちは、何とか言い包めることに成功したんですが、他のご令嬢の視線の痛いこと痛いこと。
全員を集めて説明会を開く訳にもいきませんし、第一、ジークやケント会長の同席も望めません。
でも、何かする度に、周りに気を遣わなきゃならないなんて、ものすごく不自由で面倒なことです。
何で私が、非難されなきゃならないんでしょう?
でも、ジークとケント会長が絡むと、当然予想される展開なのです。彼等は、超優良物件なのですから。
生徒会役員の皆さまもジークたちほどでないにしても、優良物件です。
男爵令嬢ズによれば、そんな方たちとお付き合いすると、周りのやっかみを買うのは、ごく普通のことで、仕方がないんだそうです。
でも、私は、仕方がないで済ませたくありません。
お貴族さまたちは、日常的に、周りに気を遣って生きています。
彼等は、相手が友達でも足の引っ張り合いをしますので、下手を打つと社交界で生きていけなくなるからだそうです。
だから、『仕方がない』で済ませますし、なるべく波風を立てないように、息を殺して生きているのです。
そんなの変です。
少なくとも、平民の私には、社交界なんか縁のない世界です。そんな場所に遠慮して、やりたいこともできないなんて、馬鹿げたことだと思うんです。
しかも、平民として普通にしてるのに、貴族の物差しで非難されるのは、不当だと思うんです。
貴族の基準で非難するなら、貴族として遇するべきです。
平民として見下しているのに、都合の良いときだけ、貴族の基準で批判するのは、公平じゃないと思うんです。
貴族は、『フェアであること』を誇りとしますが、平民を相手にすると『フェア』ではなくなるようです。
フェアじゃない貴族は、貴族じゃない!って、言ってやりたいくらいです。
ストレスが溜まりまくって息苦しいほどです。
ストレスが溜まると、スレイ翁に会いたくなります。
週末まで会えないと思えば、なおストレスが溜まります。
朝からイライラしてたら、突然、午後の授業が休講になったんです。
何でも、実家へ帰った先生が、向こうで風邪をひいて、学園へ帰って来るのが遅れてるってことでした。
こっちとしては、理由なんかどうでも良いんです。
とりあえず、半日あれば森へ行けます。
みんなが、午後からどうしようって相談してる間に、急いで寮に帰って着替え、昼ごはんも食べずに速攻で森へ出かけました。
久しぶりに会ったツノウサギとスレイ翁に、心が癒されました。
昼ごはんの代わりにお母さんのクッキーを持ってったんですが、物珍しそうに見ている二人に上げたら、二人とも美味しいと喜んで食べてくれました。
スレイ翁は、以前、食べたことがあるって言ってました。
お父さんが持ってったんだそうです。
どちらも作ったのは、お母さんです。
翁は、一度、お母さんに会いたいって言ってました。
10月1日
久しぶりにスレイ翁たちに会って癒された エヴァ
貴族の身勝手なやり方に憤懣やるかたないエヴァです。




