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(4月20日付けの手紙)その4

魔法学の実技の授業で、いよいよ攻撃魔法を実践することになります。

お母さん


 そろそろ入学して2週間経ちました。

 魔法学の実技では、クラス全員が魔力を練る練習をしています。


 先生が、単に魔力を練るだけでは面白くないだろうとおっしゃって、今日初めて、初歩的な攻撃魔法の実践をしました。


 

 すごいんです。

 魔法の訓練場ってのがあって、20メートルほど向こうに的が並んでいるんです。その的に向かって、各々の属性の魔法で攻撃するんです。


 火属性の人はファイアーボールで、水属性の人はウオータージェットで、木属性の人は蔓で、土属性の人は石礫で、って感じです。



 貴族の皆さまは、みな、上手でした。男爵令嬢ズだって(パメラだって)、結構上手だったんです。


 

 でも、私は、一応、ウオータージェットを使ったんだけど、防御は例の三ム馬鹿トリオのガラス事件でやったことがあるけど、攻撃なんかしたことないんです。




 攻撃魔法は、戦いのための魔法です。

 平和を望む平民には、不要なものです。

 そして、私は、生活に直結しない魔法には興味がありません。

 


 そう思ってたら、集中できませんでした。



 それで、先生に、

「エヴァ、君が攻撃魔法を好きじゃないのは分かるけど、攻撃魔法は魔力の制御に必要な魔法なんだ。

 魔力制御のための訓練だと思って頑張るように」

って、言われてしまいました。




 なるほど、魔力制御のための訓練だったのか。

 それを学ぶために、学園ここへ来ているのです。

 攻撃は嫌いでも、頑張るしかないでしょう。



 でも、例え、戦いに放り込まれても、私は攻撃魔法を使うつもりはありません。

 一番最初に逃げて、防御陣の中で小さくなって戦いをやり過ごすつもりです。



                           4月15日

                      

                    平和主義者の  エヴァ



PS 魔法学の実技では、攻撃魔法に費やす時間の方が、防御魔法に費やす時間より圧倒的に多いんです。

 先生に理由を訊いたら、防御魔法を訓練するには、誰かが攻撃を担当しなければならないし、しかもその人が手加減できることが必要だからだそうです。

 確かに、本気で攻撃して相手に重大なダメージ(殺してしまったり、殺さないまでも半殺しにしてしまったり)を与えるのはいただけません。

 防御魔法の訓練時間が少なくなるのは仕方がないのでしょう。

 ただ、その話を聞いて、先生が必ずしも好戦的じゃないことが分かって、ホッとしました。





平和主義者の平民にとって、攻撃魔法は辛いのです。

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