(4月10日付けの手紙)その2
かなり短いです。ごめんさい。
お母さん
前に書いた『教室でたまたま二人きりになってしまったせいで、非難されている気の毒な伯爵令嬢の話』の続きです。
件の令嬢は、周りの貴族から、同情されたり、馬鹿にされたりしていたんですが、パメラの情報によれば、あれは、親の許しを得られない二人の狂言だったんじゃないかって説があるそうです。
確かに、貴族は、親の承諾がないと結婚できません。ましてや、格下の子爵家の三男が伯爵家の跡取り娘の結婚ともなれば、いろんな計算が働いて、ほとんど不可能に近いんだそうです。
たとえ、本人たちが両想いでも、親が許してくれません。
それで、一計を案じた二人が一芝居うったんじゃないかと言うんです。
ああいった噂が広まれば、いくら令嬢の親が反対しても、件の子爵令息と結婚するしか手はないわけで、それを狙ったんじゃないかというのです。
というのは、あの後、二人は婚約したのですが、切っ掛けが異常に不自然なのにも関わらず、二人の仲が極めて良好で、周りから見ても呆れるほどのイチャラブなんだそうです。
もし、それが本当なら、二人は、力ずくで親を納得させたことになります。
でも、貴族って、面倒なものですね。
その面倒さを逆手にとって、好きな人と一緒になる方法を考え、実行する人間がいるというのも、驚きです。
私には、理解できない世界です。
4月8日
貴族の駆け引きについていけない エヴァ
エヴァは、貴族の駆け引きについていけません。