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色彩のエリーゼ  作者: 目黒 九六
255/000/000.紅大帝国-エル=ピ=シャトレ-
5/9

030/000/000.“主人公”の日常

紅大帝国-エル=ピ=シャトレ-。


空は赤く、地も赤い国。


俺はこの国で生まれた。


母は小さい頃に亡くなった。

―――俺のせいで。


俺が殺してしまったんだ。


その現場を見た父は俺の事を抱き締めて「大丈夫だ、お前は悪くない」と言ってくれた。


そんな俺を今も育ててくれる父を尊敬している。


再婚した父を祝福し、ここまで育てくれた恩返しの為に家族を幸せにする事が俺の夢だ。


その為に俺は帝国戦士養育学校に入学し、今はトップクラスの帝国戦士候補生の地位に立っている。


帝国戦士二学年、上級候補生。


それがこの俺、エイル=ストレイドである。








=====







帝国年7年、秋紅の月。


俺は通い慣れた道を辿り、学校に向かっている。


空を見上げると、雲一つ無い桃色の空が広がっている。


今日もいい天気だ。


学校の前に着き、正門を潜ろうとした所で。




「おはようエイル君、いい天気だね!」


「セネカか、おはよう」




俺に声をかけたのは淡い桃色をふんわりとセミロングに整え、顔立ちの整った学校で五本指に入る程の美少女、セネカ=カストリアである。


セネカとは幼馴染みである。


家も近く、小さい頃からよく一緒に遊んでいた。


セネカが帝国戦士学校に入学すると聞いた時は驚いたが、セネカにも帝国戦士にならないと叶えられない夢があるに違いない。


俺はそんなセネカを応援している。




「よーっす、お二人さん今日もイチャイチャと見せつけてくれるねぇー!」


「カイ君!もう、そんなんじゃないったら!」


「ははっ、まったく、カイは相変わらずだな」




コイツはカイ=ヘンドルス。


カイとは学校からの知り合いだが、信頼できる一番の親友だ。


お調子者であるが、燃え盛るような真紅の髪を持ち、目鼻も整っている為、好意を持つ者も少なくない。


カイから聞いた話だが、どうやらこの学校で俺とセネカは付き合っているという噂が立っているらしい。


幼馴染みではあるが、よく一緒にいるからかそう見られているようだ。


そして俺はどちらかと言えば顔立ちはいい方である。


その為か、容姿や仲が良くお似合いという事でセネカのファンは多いが誰からも咎められることはない。


俺としてはセネカに悪い虫が付かないのなら、その噂には感謝できるというものだ。




「ははっ、悪ぃ悪ぃ、二人を見てるとついからかいたくなっちまってな!」


「カイ君ったら!」


「ったく、馬鹿してないでさっさと教室に行くぞ」




セネカとカイの事は大好きだ。


二人がいるからどんな困難も乗り越えられる。


二人が居てくれたおかげで過去の事も忘れる事ができたんだ。




その時、視界の中に一人の学生が入った。


紫色の髪をボサボサに生やした少女。


ソイツを一瞥し、俺はセネカとカイと学校に入った。






=====






「―――ということから、紅大帝国は青の国と対立をした。…ここまでの事を纏めると―――」




俺は今、この国の歴史についての授業を受けている。


セネカとカイも同じクラスだ。


この国で生きている皆は知っている事ではあるが、この国の歴史の相互理解と再認識を図るための大切な授業である。


この帝国戦士養育学校は、中枢にそびえ立つ城を囲むように立っている。


帝国戦士、文字通りそれはこの国を守る戦士を養育し、この国を守る為の帝国戦士を生み出す為の機関。


帝国戦士養育学校には三学生まであり、年齢は15から25までであれば入学資格が得られる。


そして、一学年事にもクラス分けされていて、素質のある者からAからEの順にクラス分けされている。


俺とセネカとカイのクラスはAクラス、上級候補生だ。


学校で受ける授業は纏めると三科目。


文字や歴史等、必要最低限の知識を学ぶ«知識学»。


体力作りと国を守る為に欠かせない剣術を鍛える«戦術学»。


そして、己の真意を極め、魔法の扱いを究める«魔法学»。


『この世界は魔力で満ち溢れている。』


昔の偉人が残した言葉である。


魔力という源を発見し、魔法という発明を生み出した偉人だ。


本の物語と違って魔法に属性は無いが、火や水、風や雷を操る魔法等、身近に確認できる現象を魔力で再現する事ができる。


簡単に言えば原理を理解していれば真似ることができるという事だ。


この国を守る為に剣術と魔法を行使できるようにしなくてはならない。


それは当たり前の事だ。




「―――今日の授業はここまで。次の授業は魔法同士の対決の実践を真似た全クラス合同での魔法学の授業だ。魔法学室への移動だから遅れないように」




教師の締めの合図と共に生徒達は動き出す。


机の上を片付けているとセネカとカイが俺の席までやってきた。


いつもと変わらぬ風景である。




「エイル、すまん!後でノート移させてくれ!」


「お前…、また寝てたのか?」


「もう、カイ君しっかり授業受けなきゃ駄目じゃない!」


「いやぁ、体を動かさない時間はどうも性に合わなくてな!」


「仕方ねぇな、ほらよ」


「流石エイル!恩に着るぜ!」


「ちゃんと返せよ?」


「わかってるって!」


「エイル君も甘すぎー…、そろそろ移動しなくちゃ、一緒に行こう!」


「あぁ、行くか」


「おうよ!」




俺達は、次の魔法学授業の為に魔法学室に向かった。

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