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000/000/000.
赤色は怒りを顕にし争いを孕んだ。
青色は哀しみを纏いただ涙を流した。
緑色は何もしなくなり時の流れに身を委ねた。
黄色は眩しく視界を阻み全てを見るのを忘れさせた。
黒色は何も見えず前に歩むことを諦めさせた。
白色は過去も未来も創り出すことはなかった。
白い。
白い。
ただ白い世界。
その白い世界に少女がいた。
少女がいた、と言えるのか、“少女であったモノ”があった、と言うべきか。
ソレは、自身の血液と他者の血痕とで血塗れである。
そして、ソレは蹲り両手を腹に抱え握り締めていた。
その両手の中には、手に収まる程の白い小さな板状の何かが収まっていた。
身体は小刻みに震えている。
生きてはいるようだが、今にも死んでもおかしくない程に瀕死の状態であった。
ソレは顔をあげた。
赤に染まりつつある透き通った白い髪が頬を撫で、緋色の目を覗かせる。
赤い目は焦点は定まっておらず、しかし、ただ一点を見つめているような感じがした。
ただ一点、そこに失ったものを探しているかのように。
そして、ソレ―――少女は口を開いた。
「―――エリーゼ、助けにいくね―――」