フランドールの初仕事:1
~フランドールの初仕事(1)~
紅魔館を飛び出した私。
行き先も大まかには考えているが、候補はいくつかあり、絞り込めてはいない。その中でもここかな、と思う所もあるのだが、まだ完全には決め兼ねたまま、取り合えず上空を飛行し続ける。そんな私の視界には、燦々とした太陽と、一面の青空が広がってる。
お姉様は太陽が忌々しいと言ってた。
私も咲夜と外出するようになるまで長らくお日様は御無沙汰だったし、その後も太陽は吸血鬼の敵であると思ってた。
直射日光が当たれば普通の吸血鬼なら灰になる。
スカーレットの血を引く私達でも、灰とまではいかないまでも、長く当たれば火傷のような状態になるから日傘は必須だったし、それでも太陽の下では調子が出ない。
だけど、今はどうだい。
太陽を克服した私から見たこの景色は。
忌々しい?
否、ちょーキレイ!やふー!
「私は自由だー!」
四肢をめいいっぱい広げ、大空に向かって大きく叫ぶ。
咲夜とお買い物に行く時も空を飛んだりはしたけど、その時はこんな風に景色を楽しんだりはしなかった。
独り立ちに向けた修行と捉え、あまり気にしてなかったのかもしれない。
だけど、やっぱり今は開放感が違うのかな。
気ん持ちいいー!
…く、なくなってきた。
段々と。ま、眩しい。
私は右の手の甲を顔に近付けるようにして、突き刺さる太陽光から顔を隠す。
心なしか目眩もしてきたような。
あ、あかん。
まだ抗日光の魔法に慣れきってはないみたい。
そう言えば、私はすぐこつ掴んだと思っていたけど、本来は難しい魔法なんだってパチュリーが言ってた。
パチュリー曰く、吸血鬼が太陽を克服するという事は、世界の理を否定するのも同じ事。協力するし知識も貸すけど、そう簡単に上手くいくとは思えない。あまり期待はしない方がいいわ。とかなんとか。
そんなめちゃくちゃなプレッシャー掛けられて、マジかー無理かーとか半分諦め掛けていたのに、あれあれ? なんか肌に日があたっても大丈夫っぽくない? マジで? ホントに? とかビクビク手を日差しの前に出してみたら、いつの間にやら魔法が成功しちゃってた。
だから若干拍子抜けしてた所はあったんだけど、やっぱそう簡単にはいかないんだね。
「うー、頭痛くなってきた」
もう心無し、ではない。
いつもより明らかに調子がよくない。
あまり空を飛ぶと目立っちゃうし、時間は掛かるけど、こっからは歩いて行こうかな。
向かう場所は、ここから割と近くに位置してて、かつ人がいる場所。
となるとやっぱり人里だよね。
人里は紅魔館を出た私が向かう先として決めていた第一候補で、この幻想郷に暮らす人々が集う唯一の集落だ。
里の外れは咲夜と一緒にお買い物で何度か訪れてて、田舎って感じで人が少なかったけど、里の中心はたくさんの人々で結構賑わってるようだった。
そこが一番仕事にありつける気がする。
それに、人がたくさんいる場所を目指すのは、他にも理由がある。むしろその方が本命だ。
決して人里なら血が飲めそうだから、とか、そんな人に危害を及ぼす理由ではないので、そこはどうか人々にもご理解して頂きたい。
日陰を求め、真下に降下し地面に降り立つ。
ここらは丁度魔法の森が広がっている。
魔法の森は、私の住まいである紅魔館の南に広がっている広大な原生林だ。
木々が隙間なく鬱蒼としてるので、暫くは直射日光が当たるようなことはないだろう。
休みながら歩く間に、少しずつ抗日光の魔法も上達させていかないと。
まぁ、それはぼちぼちやってくとして、なんか――
「この森、凄い不気味」
それが、初めて踏み入った魔法の森の感想だった。
話は聞いていたが、想像以上だ。薄暗いし、じめじめしていて空気も悪い。歩きにくいし、そこら中にキノコが群生していてどこ見ても同じような感じだ。空気が悪いのは、このキノコから出る大量の胞子が宙を舞っている影響もあるらしい。なんでもその胞子は幻覚作用があるとのことで、まぁ私のような吸血鬼に作用が及ぶとは思わないが、それでもこの森の環境はいい気がしない。時折お化けのような木も生えてるし。
まぁ、明るいお日様に感動するのに暗い森を気味悪く感じる吸血鬼ってのもどうかと思うけどさ。
まぁいいや。今は日光が凌げるだけでも良しと考えよう。
それより、人里に着くまでの間にこれからの事を考えよっと。
「人里着いたら先ずはなにから始めようかな」
住むとこ探す?
でもお金はないしな。
まぁ、私だったら日光さえ防げれば野宿でも案外いけんじゃないかなとも思うけど。
でも、本当はベッドは欲しいんだけどね。
だって、今までずーっと引きこもってた私にとって、ふかふかベッドは掛け替えのないパートナーなんだもん。
アンパンの顔した正義のヒーローにとって愛と勇気だけが唯一の友達であるように、私にとってのお布団とベッドは、お布団とベッドっていう存在はっ! …そ、う、だ。包み込んでーでわーたし、の、た、め、に。お布団と、ベッドだけーがとーもだちさ♪ 的な!
…げ、げふん。なんか変なテンションになっちゃった。でも、この替え歌即興だけど、紅魔館の皆は友達というよりも家族みたいなものだし、それを考えるとあながち間違いじゃないかも、とか思ってしまえるのが悲しい。
と、ともかく、それ程ベットは好きだから欲しいということ。
くーっ! だけど、私、お金どころか日傘さえ持ってきてないし! そんな状況で流石に贅沢なことは言ってられない! 悲しいけれど、私の夜を今まで支えてくれた暖か優しいベットの優先度は下げておくことにしよう。暫くお別れになっても我慢我慢。仕方ない。
うん、その辺りもぼちぼち考えよう。
じゃあ、取り合えず仕事を探す?
それが良いよね。
取り合えず人里着いたら仕事を探そう。
吸血鬼といえ衣食住は大切だ。衣類は取りあえず今着てるお気に入りの服があるのでいいとして、住まいとご飯は最重要。でもそれだって、先立つものがなければ手に入れるのは厳しいだろう。
でも、仕事ってどうやって探すんだろう。
そういえば、紅魔館の大図書館にタ◯ンワークとかいう外の世界の本が置かれていたな。外の世界の人達は今こんな感じで仕事を探せるのかって感心したことがある。あんな感じで幻想郷や人里でも仕事が一覧で纏められていたらとても助かるのだが、どうだろう。行ってみてからのお楽しみか。
でも、吸血鬼の私を雇ってくれるような人なんているのかな。
なんか、私って気が触れてる危険な吸血鬼とかいって人里に知れ渡ってるみたいだし。
失礼しちゃう話だよね。
ぷんぷん。
確かに一時期は能力に悩まされもしたよ?
だって、知らない間に手に変なもの、しかも目ん玉みたいなものが握られてたら誰だって怖いでしょ?
今は光る球体として現出するけど、最初この“目”はホントに気味の悪い形だったんだから。
そんなの急に出てきたら誰だってびっくりして、慌てて投げ捨てようとするじゃない?
でも、手から離れた途端消えちゃうし、かと思えばまた出てくるし。
そんなのタチ悪い呪いかなんかだと思うじゃない。
で、呪いなんかに負けるかーって握り潰したら、お姉様にプレゼントしてもらった大切なぬいぐるみ吹き飛ぶし。
でも、気は触れてねぇし。
私至って普通だし。
まったく本当に傷付くわ。
いや、でも今まで引きこもってた私だ。
実は普通だと思ってるのは私だけで、私は普通じゃないのかな?
いやいや待て待てそれでもだ、そもそも私が人里でなんかしたことあんのか? ねぇだろ? 自他共に認める引きこもりだぞ! 家どころかずっと地下からも出なかったんだからあるわけがない! だというのに、一体どうして私を評価出来ようか! いわれがないにも程がある。傷付く通り越してキレるぞマジで。
まぁ兎も角として、人里に着いたら念の為私が吸血鬼だって事は隠した方がいいのかもしれない。
紅魔館の人達にも見つかりたくないし。
偽名でも考えとく?
偽名、偽名…
セ◯ス・ヴィクトリアなんてどうだい。
同じ金髪だし、吸血鬼だし。
いや、待てよ。
それってどっちにしても吸血鬼だから偽名にする意味ないやん!
だったらあえて、私吸血鬼違うアピールで、ア◯クサンド・アンデルセン神父でもいいかもしれない。
でも、吸血鬼じゃなかったら私なんてただの女の子にしか見えないし、もっと雇ってくれなくなるかもしれない。
吸血鬼だとばれたら後が怖い気もするし。
ただ、吸血鬼を隠すか隠さないかはともかく、スカーレットの名は出さない方が良いだろう。お姉様の異変もあって、知名度が高過ぎるようだし。
「まぁ、もし偽名を使うとしたら神父の方にするとして、なんか考えるだけで前途多難だな。段々心配になってきたー」
今更ながら、先行きが心配になってくる。最初にパチュリーが住む場所や仕事を心配してくれたけど、結構深刻な問題だということに今更ながら気がつく。どうしてもっとちゃんと考えなかったのか。今になって悔やまれる。
それに、お姉様に言われた、危険な力を持つ吸血鬼ということで私が傷付くという言葉、それが今になって怖くなる。
やっぱり、もう少し計画を立ててた方が良かったかな。
それに、多少紅魔館からお金とか持ってくれば良かったかな。
いや、そうじゃない。
お金はもちろん必要だけど、そんなことよりも、その前に。
やっぱり家族である紅魔館の皆を、何より、お姉様と、もっとちゃんと話し合って、ちゃんと納得させてから来れば良かったかな。大切な、血の繋がった唯一の家族なんだから。今まで、何があっても、ずっと私を守ってきてくれたんだから。
「――いや、いいんだ」
そう、これでいいんだ。
お姉様には、ちゃんと私が立派になったところを見せるんだ。
今まで迷惑も、心配も、たくさん掛けた。
だからこそ、私はもう、お姉様の保護がなくても大丈夫なところを見せるんだ。それには、誰の助けも借りず、ゼロから始めてこそ意味があるんだ。
「よし、すんだ事は気にしない。考えるのはこれからどうするか。それに、大変なのは覚悟の上だ。この先の未来も、もっとポジティブに考えよう!」
何はともあれ、職探し!
大きく手を上げ、えいえいおー!
うん、なんか楽しい未来が待ってる気がしてきたよ!?
取り合えず、先ずは人里行ってみないと始まらないよね!?
さぁ、いざ進めー!
――あれ?
「このお化けの木、さっきも見たよね?」
モチベーション上げた瞬間、私の目に入ってきたのはついさっき目にしたのと全く同じ形をしたお化けの木。
おかしいな。
真っ直ぐ進んでたはずだよね?
似てる木? 同じ木?
「きっと似てる木だよね… ちょっと戻って、確認してみようかな」
止めときゃいいのに、戻って確認しようとする私。
あれ、さっき見たはずの、お化けのような木が見つからない。
ここら辺で見たはずなのに。
えと、見つからないってことは、道はあってたの? 間違ってたの?
あれ。あれあれ。
怖くなった。
やめよう。戻ろう。
――あれ、ない。
こっちにもさっきの木がない。
今、――どこ。
ここはどこ?
私は誰?
完全に迷った私。
迷子の迷子の吸血鬼。
あなたのお家は何処ですか。
お家ーを聞いたら紅魔館。
名前ーを聞いたらフランだよ☆
いかんいかん。
心の中でうた歌ってる場合ちゃうし。
どうしよう。
このままだと拉致があかない。
空から見たら一発だし、ここは覚悟を決めて、太陽の下に突撃いっとく?
「お、こんなとこに女のガキたぁ珍しいじゃねえか」
私が飛び立つ覚悟を決めた時、背後で低く野太い声がした。
誰だろうと振り返ってみると、そこにいたのは、大男くらいの体型をした、ゴワゴワ毛並みの茶色いわんちゃん。
「貴方はだあれ? もしかして犬のお巡りさん?」
「犬じゃねえ! 狼男だ!」
「ふーん、まぁなんでもいいや。道が分からなくて困ってるんだよ。良かったら案内してほしいんだけど」
「そうかそうか、お嬢ちゃんは迷子になっちゃったんだな」
「そうなの、だからできたら人里まで――って」
あれ、なんでこの人こんなよだれ垂らしてるの?
口の筋肉動かす神経に麻痺障害でも出てるのかしら。
私見て、なにをぶつぶつ言ってるの?
えっと、なになに。
おにく、やわらかくて、おいしそう?
それって私のこと?
あぁ~まぁね?
確かに私のお肉は柔らかそうだけど。
脂肪は少ないと思うけど、この引き締まりながらもふよんとした二の腕なんかは特に――って、ちょっと待て。
「もしかして、あんた私食べる気?」
「勿論だ。人間のガキなんて久しぶりのご馳走だからな。逃がす方がどうかしてるぜ。ぐふふふ、ここ数日餌が取れなくて丁度腹減ってたんだ」
はぁ? 冗談じゃない。
なんで私があんたなんかに。
ってかそもそも私、人間ちゃうし。
「あのねー、あんた勘違いしてるけど、私は人間じゃないよ。吸血鬼だよ」
「嘘ついて逃げようったってそうはいかねぇな。なーに、そんな恐がるな。痛いのは一瞬だ」
目の前の狼男はよだれを垂らすだけでは飽き足らず、私を見て舌なめずり。
駄目だ、このバカ。
空腹で冷静な判断力もなくなってるのか。
さて、見逃してあげようと思ってたけど…
私は多少痛めつけてやろうと抑えていた魔力を高める。
そんな時だった。
「妹様ーっ! フランお嬢様ーっ!!」
「げっ、咲夜!」
森の上空では私を探す咲夜の姿が。
それを見た私は慌てて魔力の放出を止める。
人の身で空中浮遊とか相変わらず種族を疑う。
どうやら私の居場所を見つけている訳ではないらしく、咲夜はすぐに頭上を通り過ぎて行ったが、咲夜の勘の良さは尋常じゃない。
下手に力を解き放てば、離れていても速攻で私の居場所がばれてしまうだろう。
対して目の前のバカは…
ちっ、目がいっちまってるわ。
完全に私を食べることしか考えてない。
そんな汚らわしい目で私を見ないで!
しょうがないな。ここは逃げるしかない。
それに、考えれば、咲夜も闇雲に私を探したりはしないだろう。
きっと、私が行く可能性が最も高い場所へ向かうはず。
それはどこ?
そう、きっと人里さ!
つまり、咲夜が飛んでった場所を目指せば、ゴールにたどり着くこと間違いなし!
「ごめんね、狼男さん。私、あなたの期待に応えてあげることは出来ないの」
「あっ待て! エサの分際で!」
咲夜が飛んでいった方向へと私は駆け出す。
後ろから追ってくる狼を撒くべく、私は疾走する。
茂みや段差もなんのその。
木々の隙間を縫うように駆け、薮を飛び越え、木の枝に捕まっては別の枝に飛び付いて、瞬く間に狼との距離を離していく。
へっへー。待てって言われて誰が待つかーい!
私はこれでも吸血鬼。
例え魔力を解放しないでもあんたみたいな低級妖怪にゃ捕まえられないもんねー!
あなたに美味しそうって褒められたこと、それだけはありがたく受け取っておくわ。
もう二度と会うこともないでしょう!
アディオース!!
「…あかん。狼増えとる」
走って走って辿り着いた先、そこは切り立った岩壁で囲まれたような場所。
そこには、ひいふうみーよー。
計五頭の狼男。
いきなり走って近づいてきた私を見て首を傾げている。
よし、まだ敵意はなさそうだ。
今のうちに、それとなく立ち去ろう。
「すみません。知り合いかと思ったんですが、人違いだったみたいで。よくありますよねーそういうこと。ではでは、お邪魔しましたー」
「はぁはぁ、やっと追いついた。もう逃がさねぇぞ。ガキ」
「げっ」
とっさに思い付いた絶妙な口実でうまく誤魔化し、堂々その場を立ち去ろうとした私。
だけれどその矢先に最初に出会った狼男が立ち塞がった。
息を切らせながらも執拗に追ってくるその姿は、もはや変態ストーカーにしか見えない。
「ちょろちょろと逃げ回りやがって。しかし、アホなガキだ。わざわざわ俺達の巣に飛び込んでくるたぁ」
あ、あんたにアホとか言われたくないな。
まだ人間じゃないって分からないの?
翼あるの見えないの?
他の狼さんは分かってくれるよね?
ほら、ほらほら。
翼パタパタ動いてるでしょ?
…あれ、いつの間にか皆私見てよだれ垂らしてる。
なんでそうなるの?
そんな私美味しそうなの! ?
喜べばいいの!?
誰かに自慢すればいいの!?
狼男の群れは私を囲みじりじりと距離を積める。
どうしよう。
流石にこのままだと逃げられないし。
飛んで逃げるか、一瞬だけ魔力解放させ撃退するか…
(――お?)
私が次にどのような行動を取るか考えていた時だった。
突如森の奥から小さな物体が狼男に向かっていった。
森の木々の間を颯爽と駆け抜ける飛行物。
それは、よく見ると小さな可愛らしいお人形。
けれど、その手には小さな体に似合わない大きく物騒な剣を持ち、一頭の狼男を容赦無く切りつけた。
その人形は叫び声を上げる狼男を尻目に、他の仲間も次々と切り伏せていく。
そのスピードは風のように早く、動きは華麗で、剣さばきも絶妙だ。あれではとてもあの狼男達では防げない。
私はその人形を操っている魔法の糸を見つけ、それを目で追ってみる。
その先には、私にも似たミディアムショートのブロンドヘアーを、赤いリボンをカチューシャのように使って止めた、やや背の高い綺麗な女性が。
全体的にひらひらふわふわとした服装で、濃いめの青い洋服とロングスカートに、肩には白いケープ。腰にはベルト代わりに赤く大きなリボンを巻いている。端正で整った顔は、お洒落な洋服とも相まってまるで彼女自身も人形のようだ。
鋭い眼光ながらも緊張は見られない。彼女が漂わせる雰囲気に、私はパチュリーと近いものを感じた。魔女。脳裏にその二文字が浮かぶ。彼女はそういう類のもので間違いないだろう。外見の年齢もパチュリーと同じくらいに見えるが、彼女がパチュリーと同質だったら何歳生きてるのかは判断出来ない。
(あの人、強い)
体から溢れさせる魔力を感じ、私は彼女が只者ではないと判断する。
そんな彼女は、狼男達に殺気をぶつけながらも悠然とこちらに向かって歩み寄ってきた。
お外は危険。
ふと、お姉様やパチュリーに言われ続けてきた言葉を思い返し、身構える。
結果として助けてもらった事にはなったけど、油断は出来ない。
もし彼女がパチュリーと同レベルのそれだとしたら、あの狼男達なんぞより余程危険だ。
一体、彼女の目的はなんなのだろうか。