2人の距離
今朝も希佐は、望美と反射神経をもっと良くする特訓をしていた。
ドスッ
希佐「ゔっ…」
望美の蹴りが脇腹に入りうずくまっている。
あれから1週間たった今でも希佐は、どこか元気がないしやる気力もない。
望美「あのさっ!……ちょっと早いけど終わりにしよっか。」
望美は、何か言いたげだったけど希佐の今の状態をみると今何か言っても聞こえないと思ったのか辞め帰る支度をした。
希佐「う…ん。」
希佐も帰る支度をした。
希佐「また、学校で…」
気力のない口調で帰っていった。
望美「……」
望美は険しい顔をしながら希佐の後姿を見つめていた。
キーンコーンカーンコーン
希佐と望美は、学校に着きそれぞれ自分の席に座っている。
午前の授業も終わり昼ご飯の時間なりクラスのみんなは、いつもと変わらず仲の良い子達とお昼ご飯を食べている。
でも、一つだけ変わったのが希佐達だ!
奈々は、変わらずクラスの仲のいい女子と食べているが希佐と新は、いつも一緒にふざけながら食べていたのにあれから2人は、別々に食べている。
お昼だけではないく、休憩時間や授業で2人1組で組む時もいつも2人で組んでいたのに今は組まないし目も合わせない。
希佐は、頑張って仲直りしようと何回か話しかけていたが新は凄く怒っているのか素っ気ない。
奈々にも話しかけるが奈々もぎこちないが会話をしているが笑わない。
そんなこんなで希佐は、完全にやられてしまい気力がない。
希佐の様子をずっと横目で見ていた望美。
望美は、希佐に何かあったのかは聞いていない。
聞いてもこればかりは、希佐達の問題だから関わらないようにしていたが…
希佐「はぁ〜」
望美「チッ!」
お手洗いから戻ってきた望美は、やる気のない希佐を見てイラっときていた。
学校も終わりいつもの場所に着いた希佐。
望美は、もう着いておりいつもよりやる気力が半端ない。
望美「さぁ始めよう!」
筋トレも終わりいつもの反射神経スピードを上げる特訓に入った。
スタッ
希佐「!!!!」
望美は、凄いスピードで希佐に向かった。
バシッバシッドスッ!
希佐「うっ…」
シュッ
希佐「えっ!」
バシッバシッドスッドスッ
望美は、希佐がうずくまってもお構いなしで攻撃を続けている。
希佐も当たらないように必死で避けているがいつもより速くて全部は、避けられない。
望美の目は、怒りの目をしている。
希佐「はぁはぁはぁ…」
希佐(何発避けただろうか…
何発当たっているだろうか…
何十分たっただろうか…
分からない…が望美は攻撃をやめない。
きつい…辛い…ぞ!)
シュッシュッバシッバシッ
希佐(クソっ!足が…動かっ!)
ドンッ
望美のパンチが頬に当たって倒れた。
希佐「いってぇ…」
望美「目さめた?」
希佐「えっ?」
望美は、冷たい目で希佐を見下ろしていた。
望美「貴方達に間に何かあったんだろうけど、あたしには関係ない。」
希佐「……。」
申し訳なさそうに下を向いたまま黙っている。
望美「いつまた、アイツ等が来るか分かんないのにそんなやる気のない感じで特訓やられても無意味!アンタ死にたいの!?」
希佐「っ!!!!」
希佐(そうだ…アイツは、俺の為にこんな特訓をしてくれてるんだ…まぁ、俺の為だけじゃないだろうけどなぁ。)
希佐「悪っ
望美「それに!私には関係ないって思っててもあんな顔されるとこっちまで……そのぉ…何て言うか…」
希佐「ふっww」
希佐は、望美が心配してたことが言いにくいのか恥ずかしそうにしてるのが面白く思わず笑ってしまった。
望美「なっ////何笑ってんの!?」
希佐「ごめんごめんwでも、ありがとうな!俺もうウジウジしないよ!なんだかんだ、アイツ等は俺の家族だから、何があっても離れたりはしない。今は、嘘つき通すしかないけどいつかアイツ等に言えるように俺は強くなるよ!」
望美「家族ね…そうだよ!貴方が強くならないと私も大変だしね!」
一瞬悲しそうな顔をした。
希佐「俺、本気で頑張る!バイトも今月いっぱいで辞めるから来月から特訓日増えるけどよろしく頼むな!」
と満面の笑顔で言っていた。
望美は、その顔をみて滅多に笑わない望美も笑顔になった。
2人の距離は、また少しずつ少しずつと縮まっている。
希佐は、あれからいつもの希佐に戻っていった。
学校で新と奈々と会ってたらいつもみたいに希佐は、元気に挨拶をしている。
奈々は、ちゃんと挨拶を返しているが顔を合わせない。
新は、素っ気ないが挨拶を返してくれている。
けど、挨拶だけで三人でいる事はなかった。
でも、1つだけ変わった事がある。
それは、、、、
キーンコーンカーンコーン
お昼休みの時間になり皆んなは、仲のいい子と食べ始める中望美は、1人屋上に行こうとした時!
希佐「なぁ!望美一緒に食べよーぜ!」
望美に学校では話しかけないで!って言われたのにも関わらず希佐はそれを無視して望美に笑顔で話しかけてきた。
望美「!!!!」
望美は、ビックリして声も出なかった。
希佐「おーい!聞こえたかー?」
望美「え?き、聞こえたけど?」
と望美は少しテンパっていた。
希佐「じゃ、食べ行こーぜ!屋上だろ?」
望美「はぁ?えっ?ちょっ!」
希佐は、望美の返事も聞かず腕を掴み屋上へ向かって行った。
そんな、2人を見た新と奈々は何処か悲しそうな顔していた。
ガチャンッ
屋上の重たい扉を開けた。
望美「ちょっと貴方さぁ!」
希佐「俺は、貴方じゃない。希佐だ!いい加減名前で呼べよなぁ〜」
望美が怒ってるのをシカトして希佐は、喋った。
望美「そんな事よりっ…
希佐「そんな事なんかじゃねぇーよ!名前で呼ぶのは大切だろ!」
希佐は、一向に名前で呼んでくれない望美に問いかけた!
望美「はぁ〜。分かったよ。胡姫!」
望美は、大きな溜息を吐き名前ではなく苗字で呼んだ。
希佐「苗字かよwまぁ、いっか。」
と笑っていた。
望美「ところで、胡姫!学校では話しかけないでと伝えたはずだけど?」
怒った顔して睨んでいる。
希佐「あっ!悪い。でも、俺も望美もぼっちなんだからいいじゃん。それにお前は大丈夫なんだろうけど俺は、1人で食べるお昼は美味しくないんだ。だから、頼む!ご飯は、誰かと美味しく食べたいんだ…」
希佐は、頭を下げその上に手を合わせて頼んでいる。
望美「はぁ〜。」
またもや、大きい溜息をついた。
希佐は、少し顔上げ望美の顔をみた。
望美「分かったよ!」
希佐「あっありがとう!!!」
満面の笑顔でお礼を言って2人はお昼ご飯を食べた。
学校での希佐達は、お昼だけ一緒に食べることになり、会話も増えていった。