今、この光景を
男が写真を撮っていた。
被写体は鉄道車両だった。
無心に何度も何度も、電車を撮影していた。
夕方、子供が男に尋ねた。
「なんで電車の写真を撮ってんの?」
男は答えた。
「なんでやろなぁ。」
「なんで?」
続けて子供が問う。
男は返答に悩んで
「今しか撮られへんものがあるから、なんて、へへへ。」
男は自分で言って恥ずかしそうな顔をした。
「ふーん、よう分からへんわ。」
子供はそういって去っていった。
男はその後も、写真を撮っていった。
それから10年後。
男が言った通り、変わってしまった。
今はもう、とれないものばかりだ。
新着小説にあてられて、書いてみました。
一応、自分の体験談です。
当時高校生だったのですが、本当に小学生に声をかけられてしまいました。
そんなに不審者に見えてしまったのかと、今も気になっております。