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異世界なんてほど遠い現実  作者: 甘味 アキ
2/2

新田ももかの場合1

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雑居ビル・ヘブン白山




都市部の一角に位置するこのビルの屋上の黄色の扉を開けると星ひとつない真っ暗な空が広がった。


まだ18時を過ぎたくらいだが、11月も半ばだと暗く寒い。


冷たい風に急かされるように雑居ビルの屋上には場違いなプレハブ小屋に向かうと、きらびやかな衣装に身を包んだユキさんがベンチで煙をふかしていた。


「あら、優くん。おかえり」


そう言いながら微笑む彼女は本当にたばこや煙の似合わない、優しい顔をしている。


「どうも。。。ユキさんはこれからですか?」


「そうよ。バイトの子が突然今日来れないっていうから人手足りなくって・・・」


「優君手伝いに来てくれないかな~」


「勘弁してくださいよ。俺みたいなのいたら興ざめでしょw」


ユキさんは、この雑居ビルの3階でスナックを営んでいる。


ひとえにスナックと言っても彼女のとこはオカマのスナック。


「そうかな~。メイクしたら結構かわいいとおもうけどな~」


言わずもがな、彼女もオカマだ。。。


もともときゃしゃな体に色白な肌、それにメイクもとなるととてもオカマだとは思えない。


オカマどころか、女性より女性的だ。


ほんと、時代が時代なら有名な絵画の被写体になりそうな人だ。


「あ、そういえばさっき、ビルの近くをうろうろしてる子がいたから一応注意しといてね」


「どんな子ですか?」


「う~んとね、割と小さめでポンチョみたいなフワァァァ~としたの着てたかな」


「フワァ~とした感じですか」


「フワァァァ~とした感じです。うふふ」


ちょうどたばこを吸い終えたユキさんは、手を振りながらビルの中へ入っていった。


                *


しばらくプレハブでうだうだレポートを書いていて、時計の針がちょうど22時を過ぎた頃屋上の扉の開く鈍い音は聞こえてきた。


どうしたものかと思っているうちに足音は確実にフェンスの方に向かっていた。


仕方ないかと腹をくくりプレハブを出ると、まさに今フェンスを登ろうか登るまいかしているのがいた。


水玉のポンチョにニット帽というなんともテルテル坊主さながらの女の子だった。






















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